ロンブー田村淳、最上もがも自称する「HSP」 「繊細さん」ビジネスの危うさ

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「HSP」あるいは「繊細さん」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

 Highly Sensitive Personの頭文字をとったもので、感受性がとても高い人たちを表す言葉だ。世の中では「繊細で生きづらさを抱える人」という意味でも知られている。

「HSP」という言葉は、新型コロナの感染が拡大し始めた2020年から、急激に大手メディアで取り上げられるようになった。テレビ番組の「世界一受けたい授業」や「ワイドナショー」で特集されたときには、Twitterで「HSP」という言葉がトレンド入りしたりもした。

 また、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんやタレントの最上もがさんなどの芸能人も、自身が「HSP」であることを公表して話題になった。

 注目度の高まりにともなって、HSP関連の書籍が多く出版され、SNSで「HSP」を名乗る人も増えているようだ。心理学の研究者である私も、カフェや電車で「HSP」という言葉を何度か耳にしたことがある。

「生きづらさ」に名前がつく安心感

 なぜ、「HSP」という言葉はここまで受け入れられたのだろう。SNSで「HSP」を名乗る人の発信にそのヒントがみえる気がする。

「HSPという言葉を知って、生きづらさの理由がわかった」

「HSPの本を読んで、これは私のことだと思った」

「自分がHSPであることがわかって安心した」

「HSP」という言葉は、「生きづらさ」の理由をうまく説明してくれるらしい。さらにポイントは、生きづらいのは「病気ではなく、気質のせい」であるという点だ。このことには「気質が原因なので、自分はありのままで、変わらなくていい」という肯定的なニュアンスも含まれる。

 さらに、書籍などでは「HSPは5人に1人」いると説明されており、「生きづらいのは決して私だけではない。仲間がいる。」という安心感も与えてくれる。Twitterでは「#HSPさんとつながりたい」「#HSPあるある」といったタグも人気で、「HSP」を自認する人たちが「日常的な生きづらさ」を共有している。

「HSP」という言葉は、「生きづらさ」を肯定してくれるだけでなく、「生きづらい人たちとのつながり」も実感させてくれる役割を果たしているらしい。

 ただ、このように気持ちが救われる人がいる一方で、憂慮すべき問題も起きている。この記事は、ここからが本題である。

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