五輪開幕式で際立つ天皇陛下の存在感 「バッハ」「菅」「橋本」に国民は嫌気がさして

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熟慮の価値

 7月23日の夜、東京五輪の開会式が国立競技場で行われた。大会名誉総裁を務める天皇陛下が開会を宣言されたが、これが反響を呼んでいる。

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 非常にシンプルな文言だった。「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します」──読点を入れても僅か39文字。担当記者が言う。

「文言はIOCが定めたオリンピック憲章で“定型”が決まっています。原文は英文と仏文で、JOCの公式サイトに掲載された日本語訳は『第32回近代オリンピアードを祝う』でした。天皇陛下は『祝う』を『記念する』に変更され、大きく報道されました」

 メディアは「『祝う』の言葉では、天皇陛下がコロナ禍での五輪開催を祝福していると誤解を招く」ことを宮内庁などが懸念したと伝えた。

「専門家の間では、文言を変えた是非などについて詳細な議論が行われていますが、世間一般は、この点に関してほとんど関心はないようです。ネット上では、『天皇陛下が宣言を行われる間、菅首相と小池都知事が着席しており、しばらくすると慌てて立った』ことが、問題視されています」(同・記者)

 そんな仲、「天皇陛下の短い宣言に心を打たれた」という意見も多かった。

 例えばTwitterなら、《天皇陛下の短くも重みのある開会宣言が印象的でした》、《話が短い順に評価が高い》という具合だ。

3代で開催宣言

「宣言は基本形があるわけですが、組織委の橋本会長と、IOCのトーマス・バッハ会長のスピーチが長すぎたということでしょう。日本では否定的に報じられました。時事通信は『自己陶酔と正当化の20分 開会式の会長あいさつ〔五輪〕』という記事を配信。記者の署名原稿で、《天皇陛下をお待たせしたまま、2人合わせて20分間に及んだ》と手厳しい指摘でした」(同・記者)

 天皇陛下の宣言は39文字と紹介した。2人のスピーチも文字数を数えてみよう。橋本会長は約1300字で、バッハ会長は約2700字。陛下と比較すれば、約33倍と約69倍。確かに「長い」と苦情が出て当然だろう。

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏は、1964年の東京五輪で「天皇陛下の真下」にいたという。当時、神田氏はNETテレビ(現・テレビ朝日)の社員だった。

「昭和天皇が全く緊張しておられなかったことを、鮮明に憶えています。上皇陛下は1998年に長野オリンピックで開会宣言を行われました。祖父、父、息子の3世代で開会宣言を行われたことになります。それぞれ個性をお持ちでいらっしゃいます。とはいえ、やはり歴代の天皇陛下の立ち居振る舞いには、ある種の共通点があることに改めて気づかされます」

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