YouTuber事務所大手「Kiii」から“大量脱退”の裏側 前社長の解任を巡りトラブルに

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 大手ユーチューバー事務所「Kiii」(東京・渋谷区)の所属ユーチューバーが、次々と事務所からの脱退を表明したのは6月上旬のことである。

「『Kiii』は歌手が所属する芸能事務所のような存在で、最大手としては上場企業の『UUUM』が知られています。『Kiii』は、それに次ぐ規模で、チャンネル登録者数434万人を抱える『きまぐれクック』や179万人の『ラファエル』などの人気ユーチューバーを擁しています」(ITライター)

 最近はユーチューバーが動画上で商品を紹介するだけで、売り上げが大きく伸びることもある。動画再生数の多い顔ぶれをどれだけ抱えているかが、このビジネスの要。それだけに脱退騒ぎはダメージだが、肝心の原因はというと、たとえば登録者数29万人を抱える「八丈冒険団」の動画にそのヒントが。

〈前社長から電話がありまして、「はい、どうしました」と出たら、解任されて追い出されてしまったというお話だったんですよ〉

 それによると、前社長のT氏は所属ユーチューバーの面倒見が良かった一方で、新しい経営陣とはそりが合わない。それが理由で辞めるという。これを受けてネットでは「Kiii」が乗っ取られたという情報も飛び交っているが、事情はもっと複雑だ。同社の関係者が言う。

「もともと、『Kiii』は、社長を解任されたT氏が10%、所属ユーチューバーのラファエルが33・3%、そしてウェブ制作・広告代理業などを運営するI氏とその関連会社が56・6%を出資して作った会社です。ところが、T氏は『Kiii』とは別に人材紹介業や広告代理業務を始め、それがI氏のビジネスとバッティングすることが分かった。I氏は、利益相反行為だとして3月22日に『Kiii』の臨時株主総会を開き、T氏を解任したのです」

 これに対してT氏は、未払い役員報酬などを求めて「Kiii」を提訴しているが、不可解なのはユーチューバーの動きである。

「T氏は解任直後に事務所を設立しており、『Kiii』のユーチューバー約50組のうち、27組が契約解除を通告。その多くが新しい連絡先をT氏の事務所にしています」

 T氏による露骨な引き抜き行為にもみえるが、当の「Kiii」に聞いてみると、「コメントは控えさせて頂きます」との返事。本当の事情を誰か動画で明かしてくれないだろうか。

週刊新潮 2021年7月8日号掲載

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