伊藤かずえの30年モノ「シーマ」を日産がレストア 本人が語っていた“シーマ愛”

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SNSが日産を動かした

 初代シーマ(FPY31型・セドリックシーマ/グロリアシーマ)は、日産の高級セダンのセドリックとグロリアの上級バージョンとして88年に発売された。“シーマ現象”と呼ばれるほどの人気車となった。ちなみに伊藤の愛車はセドリックシーマで、V型6気筒3リッターのVG30DET型ターボエンジン(最高出力255馬力=187kW)、当時最新の電子制御エアサスペンションを搭載した最上級グレード「タイプIIリミテッド」(新車価格436万5000円)である。

 当時の記事は、モノクロ写真での掲載だった。ご興味のある方はデイリー新潮のカラー写真でご覧いただきたい。ボディの塗装はクリア塗装が剥げたのか、はたまたクリアの上から“セルフ”で塗ったためなのか、ザラザラ感が見て取れる。“CIMA”のロゴ周りもちょっと酷い……。内装は25年モノとは思えないほど綺麗に使用されてきたものの、やはりそれなりのヘタリが見受けられる状態だった。

 さらに5年が経ち、彼女のシーマ歴は30年に達した。昨年10月3日の1年点検の際、彼女はSNSに以下のような書き込みをした。

《シーマに乗り始めて今月で30年/今日一年点検してもらったら日産スタッフの方におめでとうございますとお花を頂きました。ありがとうございます》

 1台のシーマに30年乗り続けている、ということがネットニュースになり、昨年10月19日には「とくダネ!」(フジテレビ)でも紹介された。また12月10日には、19歳になる彼女の娘がこのシーマに初心者マークを付けて運転する動画がSNSで公開され、同月27日には走行距離が26万6000キロを突破したことも投稿された。話題が話題を呼んで、どういうわけか製造元の日産にコメントが寄せられるようになったのだ。日産は以下のようなコメントを発表している。

《2020年10月に、伊藤さんの愛車「シーマ」の一年点検の際のSNSへの投稿がきっかけとなり、伊藤さんが30年以上に亘り、この「シーマ」を愛車として大切にされていることが、SNSやメディアで大変話題となりました。この投稿等をご覧になった方から「やっちゃえ、日産!」「日産はレストアを検討して!」といった多くのコメントをいただきました。日産社内でも何かできないのかとの声も上がり、有志によるチームが立ち上がり、伊藤さんへの「日産からの感謝の想い」をレストアという形でお応えする取り組みが開始しました。》(3月17日付 日産自動車)

 日産も「やっちゃえ、日産!」と言われたら、やらないわけにはいかなかったに違いない。この日のうちに、「伊藤かずえさん」「レストア」がツイッターの注目ワードとしてトレンド入りし、日産も大いに株を上げた。

 これに対し、オーナーである伊藤はこう発表した。

《愛車シーマ、日産がレストアしてくれることになったのは、TwitterやInstagram、ブログなどで皆さんが日産にレストアをお願いしてくれたお陰です。本当にありがとうございます》

 なお、日産は伊藤のシーマを半年かけてレストアし、その状況は日産公式Twitterなどで発表していくという。

 自動車メーカーが次々と電気化の方針を打ち出す中、内燃機関を愛するカーマニアたち、ネットユーザーたちが、V型6気筒3リッターの初代シーマに30年以上乗り続けた伊藤を応援し、大メーカーを動かした。ちょっといい話だ。

デイリー新潮取材班

2021年3月26日掲載

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