石破茂「消費税についても議論は必要」 コロナ禍における景気対策の観点から

石破茂 異論正論 国内 政治 2021年03月24日

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税制も含めた経済論議を 石破茂の「異論正論」(3)

 新型コロナと経済を議論するにあたっては、大きなダメージを受けた旅行業、飲食業に注目が集まりがちだ。しかし、ごく一部の業績を伸ばした企業を除けば、そのダメージを全業種、全国民が受けているといっても過言ではない。

 では、政府あるいは自治体には何ができるのか。私たちは何を求めるべきなのか。

 石破茂の「異論正論」3回目のテーマは、「国と地方の関係」「消費税」について。

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観光業以外の苦境にも目を

 経済対策に関連して言えば、観光業や飲食業の苦境を伝える報道ばかりが多い点が気になります。他の多くの業種もコロナで大きなダメージを受けているのです。私はライブ・エンタテインメント議連の会長を務めていますが、この業界の受けているダメージにもすさまじいものがあります。

 昨年11月、議連会長としての現状視察も兼ねて、野口五郎さんや岩崎宏美さんが出演なさるコンサートを見に行きました(数ある他のコンサートではなくこのコンサートにしたのは、もちろんファンだからです)。本当に徹底したさまざまな対策を取っていて、掛け声は禁止、お客さんができるのは拍手のみ。

 2020年は、野口さんはデビュー50周年、岩崎さんはデビュー45周年の年だったそうです。それを記念したコンサートなども数多く企画されていたことでしょう。

 ところがコロナで、そういった大きなコンサートは開催できなくなってしまった。

 新しく作られたホールは、ほぼ毎年のように改正される建築基準法で定められる厳しい基準をクリアしているため、換気システムもしっかりしていますし、天井も高く、いわゆる「密」の状態にはなりません。そうであれば、1列ずつ空ける、座席間隔を取る、といった対策を取り、さらに大声を出すことを禁止すれば、感染拡大のリスクを低く抑えた状態でイベントは開けるはずです。が、実際には多くのイベントが中止や延期となった。おそらく、初期の頃に小さなライブハウスなどでクラスターが発生したことが悪影響を与え、「ライブはすべてリスクが高い」と認知されてしまったからではないかと思います。

「私、今年、お客さんの前で歌うのは3回目です」

 岩崎さんがそのように仰っているのがとても印象的でした。あれほどのキャリアと人気を誇るアーティストが、年末に近づいた時点で、しかもデビュー45周年の節目なのに、たった3回しか歌えなかったのです。

 ましてや、そこまでメジャーではない方々、地方のイベントの営業で生計を立てているような方がどれだけ大変かは明らかでしょう。小さなイベントメインだった方々はまったく仕事がなくなった。さらに大道具、小道具、音響、照明等々スタッフの方々はもっと大変です。

 旅行業界はすそ野が広く、関わっている人数も多いので注目をされやすいのですが、苦しんでいる業種は他にもたくさんあるのです。ここではエンタメ業界のお話をしましたが、あくまでも一例に過ぎません。

 ですから、GoToキャンペーンの是非といった点に議論を集中させるのではなく、本当に困っている人たちに広く目を配るためにはどうすればいいか、実効性のある補助とはどうあるべきか、を考えねばならないのだと思います。

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