甲子園3回出場の「松山聖陵」、野球部監督が部員にコンクリの上で「顔面ヘッスラ」体罰

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意外な情報提供者

 最初の処分は、センバツの出場校だったこともあり、実名で報じられた。共同通信が19年2月1日に配信した「選抜高校野球、2校の監督が謹慎 春日部共栄と松山聖陵」から引用させていただく。

《松山聖陵の荷川取秀明監督は報告義務違反を含めて3月25日まで2カ月の謹慎となった。部員の生活指導をする中で、顔をつかんで壁に押しつけた行為が動画で撮影されており、選抜出場決定後にインターネットで流布されて発覚した》

 荷川取監督は19年に《顔をつかんで壁に押しつけ》たとして謹慎処分が下り、20年にも《自分の頬をたたいておけ》などと強要して再び謹慎処分となったのだ。

 果たして荷川取監督は最初の処分で真摯に反省したのだろうか。2回目に直接的な暴力をふるわなかったのは、問題化を怖れ、やり口を変えたのではないか──こんな疑問が浮かんでくる。

 そこで松山聖陵高校の関係者に取材してみると、新聞報道より遥かに深刻な体罰の実態が明らかになった。

「愛媛県の高野連に情報提供を行ったのは、他高の関係者でもなければ、野球部の保護者でもありません。2年生の野球部員が話し合って実行したのです」

普段は温厚

 荷川取監督の体罰があまりに酷く、とうとう耐えきれなくなったというのだ。10代の少年には並外れた勇気が必要な行動だろうが、関係者によると、いきなり県高野連に情報提供を行ったわけではないという。

「最初、2年生の部員は学校側に体罰強要や暴言などの問題を相談したのですが、その内容が監督に筒抜けになってしまったのです。監督は激昂し、2年生に向かって『文句があるなら自分に言え。自分に言ったら退部だ』と言い放ちました。これで部員は八方塞がりになってしまい、更に話し合いを続けました」

 そこで、ある部員から「高野連に助けてもらおう」との提案があった。賛成する部員、反対する部員、「どうでもいい」という部員など、反応は様々だったという。

「結局、1人の部員が電話しました。彼は部室で部員の携帯電話を使い、スピーカーのボタンを押して高野連に電話をしました。立ち会った2年生の部員に会話を聞いてもらうためです。こうして“直訴”が行われました」(関係者)

 この荷川取監督だが、普段は非常に穏やかな人柄だという。

「礼儀正しく、腰の低い人物です。沖縄県人らしい大らかさというのでしょうか、ゆったりと構えた人物という印象が強いですね。ただ一度激昂すると、部員に当たり散らさない限り収まらないようです。どうも怒りのスイッチが入ると豹変してしまうみたいなんですね」(関係者)

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