百貨店の検温、やる店とやらない店がある理由 検温の“ホントの目的”とは

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 今やすっかりおなじみとなった百貨店入口での検温。三越伊勢丹HD広報が、

「三越と伊勢丹の首都圏の店舗は緊急事態宣言明けの5月30日から営業を再開しており、以来、入口に常駐する係員がサーモグラフィーでの体温チェックを行っております」

 というような態勢が普通だろう……と思っていたら、さにあらず。社によって違いがあり、顕著な例が池袋駅を挟んだ東武と西武の両百貨店だ。まずは東武百貨店池袋店の話。

「5月27日の全館営業再開後から検温をしております。初期は係員が非接触型の体温計で行っていましたが、7月上旬よりサーモグラフィーに徐々に切り替えました。場所は入口10カ所と1階エスカレーター前の計11カ所で、社員及びアルバイトスタッフからなる各所1~2名の態勢です」

 こちらは普通だ。けれど目下、ノーチェックなのが西武池袋本店。

「5月23日に全館営業を再開。検温はそれから5月末まで入口で実施し、いったん中断。7月18日から10月5日まで再び実施しましたが、そののち現在まで行ってはおりません」(広報)

 西武が検温したりしなかったりするのには訳がある。

「都内の感染者数の変動に合わせているからです。今、第3波が来ていると言われ、近くメインの出入口14カ所にサーモグラフィーを設置する予定でおります」(同)
 新宿や日本橋に店舗を構える高島屋も独自の姿勢だ。

「5月中旬からの営業再開以降、検温は実施していません。感染防止策はHPや店頭で掲示していますように、マスク着用や手指の消毒、少人数でのご来店などでお願いしております。体調の悪い方の来店も控えていただいています」(広報)

 それでも客その他からの「検温しろ」といった苦情もないそうだから、日本は健全と言うべきか。とまれ、検温の“真意”について、ある百貨店関係者が明かす。

「これまで入店をお断りする基準、体温37・5度を超える方が来られたケースはありません。そこはお国柄でしょうか。むしろ検温の一番の目的は、来店なさるお客さまがマスクを着けておられるかモニターでチェックし、未着用の方にお渡しすることにあるんです」

 本来なら年末年始は書き入れ時。客が来ても大変、来なくても大変。いろいろな意味で正念場を迎える。

週刊新潮 2020年12月17日号掲載

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