「七人の秘書」人気の秘密……「ハケンの品格」「ドクターX」を受け継ぐ中園ワールド

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シリーズ化はあるか

 具体的にはどんな点だろう。

「『ハケン』も『ドクターX』の主人公も、組織に囚われない一匹狼であること。そして決め台詞でしょうね。大前春子の“それがなにか?”、大門未知子の“いたしません!”は“あっしには……”に通じるものがあります」

「七人の秘書」は、一匹狼どころか七人のグループだ。

「彼女たちには“名乗るほどの者ではございません”があり、それぞれわかりやすい個性が描かれている。元締めの江口には、様子を見た上で“ここからは引き取らせてもらおうか”があります。7人になったとはいえ、主人公たちがニヒルで、勧善懲悪であることは共通しています」

 さらに、企業などの内部をリアルに描くことも特徴だという。

「“取材力の中園”との異名があるくらいですからね。『ハケン』の時にも、多くの派遣社員に取材した上でホンにしていますし、『ドクターX』も同様。『七人の秘書』では木村は東都銀行の常務秘書ですが、正社員ではなく派遣です。菜々緒は警視庁警務部の秘書、シム・ウンギョンは大学病院の院長秘書、大島は都知事秘書、室井と江口は政治家の元秘書で、どうやら2人とも前科持ちらしいことが明かされています。中園さんがこれまでに取材した“貯金”も使われていくと思われます」

 ドラマ冒頭に入るナレーションが『ハケン』と『ドクターX』でよく似ていることは、デイリー新潮「こんなにある共通点…篠原『ハケンの品格』再放送で確信した米倉『ドクターX』の原点」(4月22日配信)でも紹介した。それは『七人の秘書』でも同様だ。

「『ハケン』と『ドクターX』の語りは、どちらも田口トモロヲ(62)で共通でした。ナレーションでは、まず暗い時代の背景を挙げ、業界の危機をあおり、そこに新たなヒーロー(ヒロイン)が登場することを打ち出します。そこで一拍おいて、主人公が映し出され、再びナレーションが入るのがパターン」

●「ハケン」の場合
《例えば、この女、あなたの隣のデスクにも、ある日、何の前触れもなく、こんなとんでもないスーパーハケンがやってくるかもしれない》

●「ドクターX」の場合
《例えば、この女、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが、彼女の武器だ。外科医・大門未知子、またの名をドクターX》

『七人の秘書』のナレーションも同様だ。

《この世を動かしているのは誰だ。国や財界のトップか。いや、違う。本当にこの世を動かしているのは、実は影の黒子たちだ》

 ここで一拍。

《例えば、この名もなき秘書たち。ボスを支え、組織に仕え、目立たぬことこそ、黒子の極意。だが、彼女たちがその気になれば、この世を変えることだってできる。この世は万事、表があれば裏がある。光があれば闇がある。そしてその闇の中にこそ、光る真実(まこと)がある。これは、そんな名もなき秘書たちの秘密の物語である》

「語りは岩下志麻さん(79)ですから、迫力が違います。いずれはドラマに出てくることを期待してしまいますが、彼女を含め、よくもこれだけ好感度と演技力のある役者を集めたと感心します。一見、イモトアヤコ(34)かと思ってしまう韓国スタアのシム・ウンギョンの片言の日本語が、いい意味で予定調和を崩していると思います。江口もラーメン屋のオヤジ役をよく受けたなとも思いましたが、前科持ちといった伏線があるからでしょうね」

 江口は政治家の元秘書でもあるから、いずれは財務大臣役の岸部一徳(73)と絡んできそうだ。ちなみに岸部は「相棒」、「ドクターX」などテレ朝の人気シリーズドラマには欠かせない役者でもある。「七人の秘書」もシリーズ化できるだろうか。

「昨年まで『ドクターX』が放送されてきた枠ですからね。王者・日テレから年間視聴率の三冠王を奪うには、この枠の高視聴率維持は欠かせません。そのため、テレ朝もこれだけ力を入れたのだと思います。調子がいいので、シリーズ化も検討されるでしょう。ただし、毎年、この7人を集めるのは大変でしょうね……」

週刊新潮WEB取材班

2020年11月5日掲載

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