神戸山口組の分裂・対立続く…処分通達でも山健・中田組長に先手を取られて

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「山口組」の分裂からちょうど5年、最近話題となった処分通達から

 6代目山口組を割って、神戸山口組が結成されてちょうど5年の歳月が流れた。昨年秋に6代目の高山清司若頭が府中刑務所を出所して以降、神戸山口組の勢力は殺がれ続けている。中でもその中核組織である山健組は、神戸山口組のトップである井上邦雄組長派と反井上派の2つに分裂状態となった。そして数日前、反井上派からある通達が出て話題となったのである。

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 山健組の当代は、2018年5月に井上邦雄組長から継承した5代目の中田浩司組長。昨年12月に弘道会傘下の組員を銃撃し、殺人未遂の容疑で逮捕・起訴され、現在は拘置所にいる。「山健にあらずんば山口にあらず」とまで言われ、ヤクザ界を睥睨してきた山健組のトップ自らがヒットマンとなったことは斯界に大きな驚きをもって迎えられた。

 差し当たって山健組の中で、井上4代目vs中田5代目という対立構造が生まれ、挙げ句に真っ二つに割れ、それが神戸山口組の自壊・瓦解に繋がっていたわけだが、その新生5代目山健組の中田組長側から、8月24日付で以下のような処分内容が伝わってきたという。

【絶縁】
 與 則和(與組)
 山之内 健三(誠竜会)
 西野 雅之(2代目健國会)

【破門】
 橋本 憲一(橋本会)
 野崎 秀夫(4代目伊藤会)
 島田 潔希(2代目兼昭会)
 藤岡 宏文(誓仁会)
 岩崎 尚介(2代目道志会)
 川尻 雄喜(誠雄会)
 鈴木 修司(2代目酒井組)
 松永 俊彦(2代目東龍連合)
 小島 慎也(小島会)
 長田 正雄(長田総業)
 永田 仁(本部預かり邦将会)

【除籍】
 宝満 国広
 疋田 健二
 宮田 世市
 西岡 義明(2代目晃心会総裁)
 元満 志郎(2代目安部組)
 高橋 武身

“中田と2人で話したら分かり合えるはずや”

「とても興味深い通達ですね」

 と話すのは、元6代目山口組系義竜会会長で、現在はカタギとなってNPO法人を主宰する竹垣悟氏。

「今回、処分が出たのは神戸山口組の井上組長側についた者たちです。ヤクザ界で盃を交わした親(分)を裏切るというのは万死に値しますから、反旗を翻した中田組長らに対して井上組長側が処分を下すのが普通ですけれど、井上組長はそうしなかった。側近からそのように諭されても、“中田と2人で話したら分かり合えるはずや”などと話していたと聞いています。中田組長は接見禁止状態で弁護士としか面会できない状況にありますから、2人で話すのはムリ。で、そうこうしているうちに逆に中田組長が先手を打ってきたというわけです」

 ただし、こうも付け加える。

「5年前、盃を交わした6代目の親分を裏切った張本人なわけですから、そもそも井上組長側に『理』があるかと言うと、なかなか難しい面もあるわけですが……」

 今後の5代目山健組の進む道については、

「一本独鈷として、6代目を敵視するスタンスを取っていくという声とすでに6代目側と話ができているという説とが流れています。前者については、これまで6代目側から抗争を仕掛けられても神戸側は返し(報復)を十分にできていなかった。井上組長がそれを諒としなかったというのが理由ですね。その呪縛から解き放たれ、返しを止める者もいない中で、6代目側との対立が先鋭化すると見ているようです」

 後者については、

「3代目弘道会の舎弟頭補佐(若頭から降格)で、4代目山本組の中野寿城組長と5代目山健組の中田組長とが兄弟分だという話があります。その縁で新生山健が6代目に復帰するというシナリオです」

 ヤクザとして生き残りを賭け、どちらの道を選ぶのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月27日掲載

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