銀座の老舗クラブママが吐露 「経理女性に店を乗っ取られました…」

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 やはり銀座は生き馬の目を抜く世界である。煌(きら)びやかな表層をひとたびめくれば、嫉妬や裏切りが渦巻いている。6月から多くのクラブが営業を再開するなか、老舗の「グレ」がただならぬ事態に陥っていた。

「グレ」は、1976年に光安久美子さんが開いた伝説的クラブである。かつては常連客に王貞治や石原裕次郎などのスターをはじめ、財界は日本マクドナルド初代会長の藤田田氏など、大御所がズラリと揃った。

 2008年になって光安さんは引退。チーママだった現在の山口さゆりママが店を譲り受けた。2代目ママは苦労するとのジンクス通り、腕っこきの男性幹部が辞めたり、いっときにホステスが10人近く抜けたりもした。しかし彼女は踏ん張り、ここまで老舗の看板を守ってきたのである。

 そして、コロナ休業からの再開も見えてきた6月上旬のある日。突如、さゆりママが自身のインスタグラムで、

〈実は私が経営しておりましたクラブグレが不徳の致すところで経理の女性の背任行為が発生してしまい結果的にお店を取られてしまう事態に至りました〉

 との“表明”に続けて、

〈今は目の前の現実を受け入れて、法的措置を取りながら、これから新しいお店のオープンに向けて歩んで参りたいとの一心でございます〉

 店を取られた? 法的措置? 穏やかならざる事態だ。一体、何があったのか。

老舗の看板に傷

 銀座歴ウン十年の耳聡(ざと)いクラブママ連からは、

「そもそも経理担当の背任行為で、なんで店を取られるのよ。往年の名店の看板が重たくなって逃げちゃったんじゃないかしら」

 なんて声も上がったが、

「コロナ関連の助成金や融資の申請をしようとして、クラブの経営会社代表に裏切られたんです」

 と、当のさゆりママ。

「4年前から、税金対策で経営会社の株主や会社代表の名義を、経理を見てもらっていた女性役員に変えました。変更はするけど私が実質的な株主、との合意書も交わしています」

 で、いよいよ本題。4月に入って助成金や融資申請の検討をはじめたところ、

「会社代表の連帯保証が必要なものもありました。なので、彼女にそれをお願いするのは申し訳ないと思い、会社代表の名義を私に戻すよう打診したのです。すると5月に入り、弁護士を通じて“私を辞めさせるなら退職金2500万円を払え”と言ってきたのです」

 コロナ休業の折でもある。

「彼女に辞めてもらう気などなく、2500万円をパッと払うわけにもいきません。みんなで6月8日の再開を目指していたつもりでしたが、5月半ばになると、彼女は代表の立場を利用して店の鍵を換え、光安さんの時代からの役員も独断で解任。つまり乗っ取られてしまったのです。店は、私抜きで再開するようです」

 もはや和解は不可能。民事訴訟に持ち込むという。

「老舗の看板を傷つけることになってしまい、先代に申し訳なくて……」

 コロナ並みに、いや、2代目ママにはそれ以上に厄介な騒動かもしれない。

週刊新潮 2020年6月18日号掲載

ワイド特集「政治利用する人 される人」より

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