コロナ禍のキャンパスに降臨した「オンライン新歓」明暗を分けたものとは

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新入生男子に聞いてみた

 一方で、この状況をむしろ好意的に受け止めている声も聞こえてきた。

 筆者の友人の1人は「新歓でよく起こる未成年飲酒はなくなっているんじゃないですか。例年、新入生の女の子を“お持ち帰り”する上級生も物理的にそれが叶わず、歯がゆい思いをしていそうです」と語っていた。

 オンライン新歓はこれまでの醍醐味がなくなる一方、対面特有のトラブルに巻き込まれずに済む。「飲み会離れ」が進む「令和2年の大学光景」には合っているとも言える。

 そんな中、このコロナ禍で「上手くいっているサークル」があると耳にした。それは、東工大の、ゲームなどの開発を行っているデジタル創作サークルだという。なんと、このサークル、一度も登校していない新入生132人を獲得し、すでに新入生も交えて活動を開始しているという。

 そのサークルの新入生男子(18)に直接話を聞いてみた。

――特に不都合などはないのですか?

「入会したサークルでは、IT習熟度が高いメンバーが多いので、オンライン上でもうサークル活動を始めていますね。コアな理系の大学のためITに強いネット民が多く、新入生のコミュニケーションもオンライン上で活発です」

 何のことはない、元々ネットに強い学生が集まる理系の大学では、むしろオンライン化でその強みを活かせているわけだ。

――新歓は盛り上がりましたか?

「他の大学は上手くいってないと聞きますが、うちではオンライン新歓も活気がありましたよ。オンライン上のサークル合同説明会も新入生の半分近くが視聴していました。新入生である自分も登校する前から充実したサークル活動が出来ています」

――サークルのメンバーとはどんな話で盛り上がるのですか?
「例えば、競技プログラミングの話なんかで盛り上がってますね。プログラミングの能力を競う大会です。高校時代から、一流エンジニア並みの成績を残してきた新入生も多いですよ」

 サークル活動が活発な文系より、理系のコアなサークルの方が盛り上がっている――。コロナ禍で、従来のサークルに対するイメージの逆転現象が起きているのかもしれない。オンライン新歓を上手く活かせているサークルもあれば、限界を感じているサークルもある。この状況下で、大学のサークルも明暗が分かれているようだ。

茂木響平
1997年、東京都生まれ。現在、上智大学文学部史学科に在学中。大学文化史を専攻し、書籍企画「平成珍サークル列伝」で第14回出版甲子園決勝出場、珍サークル研究家を名乗る。ライターとして、大学や就活、サークル、サブカルチャーなどをテーマに記事を執筆。学生団体「大学のお水飲み比べサークル」の代表として、各種イベントの主催や司会なども手がける。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月8日掲載

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