民事再生「レナウン」と「大塚家具」の数奇な縁、中国企業との資本提携で明暗も……

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久美子社長をリスペクト

 昨年2月、大塚家具は中国系企業と業務提携を結び、76億円もの資本増強を実施すると発表した。外国特派員協会で行われた記者会見では、大塚久美子社長は大見得を切ったものだ。

「大塚家具が、守りから攻めに転じる体制が整った! 大塚家具は日本はもとより、ヨーロッパ、アジア各国から良い商品を集めて、日本の消費者に提供してきました。創業50周年になります今年、大塚家具は日本から一歩踏み出します!」

 ところが、そうは問屋が卸さなかった――しかし、結果的にこれが大塚家具にとって幸いだった。

「76億円増資の内訳は、半分を米国投資ファンドが持ち、半分を日中間の越境ビジネスの運営を手がけるハイラインズを中心としたファンドが持つはずでした。ただし、その半分は新株予約権でしたから、すぐに大塚に入るのは第三者割当増資の38億円ほど。そのうち約20億円を米国投資ファンドが出資しましたが、この会見の1週間後には半分以上を売り払ってしまいました。さらに残り18億円のうち、約12億円が中国から入るはずだったのですが、まったく入ってこない。結局、期間内にお金が入ることはなく、12億円分の第三者割当増資は失効することになったんです」(前出・信用調査会社の関係者)

 中国と組むと、ろくなことがないという典型例か。

「むしろ大塚家具の場合、中国企業に見捨てられたと考えるべきでしょう。第三者割当増資は設定した株価で出資するものですが、時間が経つうちに大塚家具の株価はどんどん下がっていった。中国側から見れば、値下がりした株をわざわざ高い金で買う必要もないわけです。出資した途端に含み損となるわけですから。中国企業に逃げられたと見るのが正確です」(同)

 それもこれも経営を悪化させ続ける、久美子社長のなせる技である。

「それでも久美子社長は、悪びれる様子もありません。今までの失敗などなかったかのように、昨年12月にはヤマダ電機の傘下に入って、“黒字化まであと一歩”“家電との融合”とか高らかに宣言しています。今やネットユーザーからは、彼女へのリスペクトの声すら上がっていますよ。あれほど経営を悪化させているにもかかわらず、会社を潰さないのは奇跡的だ、とイジられているわけです」(同)

 確かにその通りではあるが……。

「大塚家具がヤバいと言われながら、3年も経っていますからね。今期も赤字は決定的で、4期連続の赤字決算となります。5期連続となれば上場廃止となるわけですが、久美子社長の前向きすぎる発言には驚かされます。ただ、彼女が計画することは全て上手くいっていない中で、中国に見捨てられたことは功績なのかもしれません。あのまま中国の出資がまとまっていれば、いずれは中国企業の子会社となっていたでしょうし、コロナ禍の今、どうなっていたことやら……。いやいや、やっぱり、まとまらなかったでしょう」(同)

 ヤマダ電機傘下となって、大塚家具の経営は立て直されたのだろうか。

「コロナ禍が続く中、大塚家具だけが経営悪化しているとは言えませんがね。4月の月次報告は前年比73・5%(既存店)という数字が出ています。その理由として《新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一部店舗を臨時休業及び営業時間短縮としました。外出自粛要請もあり、来館件数は大きく減少しました》と説明しているのですが、3月が85・2%だったことを考えると、思ったほどではない。つまり、これまでが悪すぎて、コロナのせいと言えるのか分からない状態です。まあ、株主総会では、久美子社長はコロナのせいだと言い張るのでしょうが」(同)

 大塚家具は今、リモート接客など、ネットに熱心だ。

「ヤマダ電機とのコラボサービスの顧客第一号として、久美子社長自身が出演して、自宅をリフォームするなんていうYouTube動画も作っていましたね。あのマンションって、お母さんの持ち家だと思いましたが、許可取ったんでしょうか? ともあれ、自宅より先に、会社の“リフォーム”を行うべきでしょう」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年5月22日掲載

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