【コロナ禍】日本は感染抑止できているのか 断トツに少ない「人口あたりの死者数」

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欧米メディアは当惑?

 日本における新型コロナウイルスの、感染者数や死者数についての議論が盛んだ。本当に少ないのか、それとも充分な検査が行われておらず、肺炎の死者数に紛れ込んでいるためなのだろうか。ここにきて海外メディアも同じ関心を抱いたようだ。

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 時事通信と共同通信の記事をご紹介しよう。まず時事通信は3月25日、「『日本のコロナの謎』 検査不足か健闘か、欧米注視」との記事を配信した。

《日本の新型コロナウイルスの感染者数が統計上は先進国中で圧倒的に少ないことをめぐり、感染が急増中の欧米のメディアは、日本は検査不足で実態が反映されていないのか、それとも感染抑止で「健闘」しているのか注視し始めた》

 記事によると、ドイツの雑誌「ウィルトシャフツウォッヘ」は電子版の記事で、《欧州と違い多くの店舗が開いているのに、日本の感染者数は少ないと指摘》したという。

 また、アメリカの通信社ブルームバーグも、《検査数の少なさを指摘しつつ、検査数が多いイタリアより致死率が低いことも紹介。握手やハグの少なさ、手洗い習慣などを肯定的な要素として挙げた》と報じている。

 一方の共同通信は27日、「日本の状況『世界が当惑』 感染増を回避、理由分からず」との記事を配信した。

《米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は26日、新型コロナウイルスの日本での感染状況について「厳しい外出制限をしていないのに、イタリアやニューヨークのようなひどい状況を回避している」と指摘、世界中の疫学者は理由が分からず「当惑している」と伝えた》

《日本が医療崩壊を避けるため、意図的に検査を制限しているとの見方を紹介。米コロンビア大の専門家は、日本のやり方は「ばくち」であり「事態が水面下で悪化し、手遅れになるまで気付かない恐れがある」と警鐘を鳴らした》

 ツイッターでも全く同じ論争が起きている。「コロナ 日本 死者数」で検索すれば、以下のような投稿が表示される。

《日本のPCR検査は少なすぎるとはいえ、死者数などを鑑みれば日本はまだコロナから持ちこたえている》

《米国並みの検査をすれば、恐らく日本がダントツの感染者、死者数になる》

 果たして、どちらがより真実に近いのだろうか。WHO(世界保健機関)が3月26日に発表した、国・地域別の感染者数・死亡者数の調査結果を精査してみよう。

 公式サイトに記載された資料だが、台湾、香港、マカオの項目は存在しない。また日本の数字にクルーズ船の感染者数や死者数は含まれていない。

 まずは感染者数と死者数のワースト3を確認しておこう。

 感染者数のワースト3は、【1】中国(8万1961人)、【2】イタリア(7万4386人)、【3】アメリカ(6万3570人)――となっている。

 1291人の日本は27位だ。また27日にはアメリカが中国を抜いてワースト1位になったと報じられた。

 死者数のワースト3は、【1】イタリア(7505人)、【2】スペイン(3434人)、【3】中国(3293人)となっており、45人の日本は16位だ。

 以上の2つは、テレビや新聞で頻繁に目にする数字と言っていいだろう。では、これからは「各国人口あたりの死者数」という、日本のマスメディアが使っていない視点でWHOの資料を読み解いてみたい。

 アメリカの人口は3・2億人、中国は14億人だ。両国の感染者数や死亡者数が多いのは、人口に比例するということを考えれば、ある意味で当然だとは言える。

 だが「人口あたりの死者数」を計算してみれば、逆に日本人が全く知らないような小国で感染が蔓延している可能性がある。そして何より、日本の感染者・死亡者数の“本当の評価”が分かる可能性もある。

 人口は外務省の公式サイトにある「国・地域」に記載されている数字を、四捨五入など手を加えずに使用した。それでは、まずワースト1位から8位の表をご覧いただきたい。

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