永瀬廉主演「FLY! BOYS, FLY!」でフジテレビに疑問の声が上がるワケ

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朝日放送も似たドラマを制作

 一方、不満を漏らす視聴者もいる。「有り体に言って、少し鼻白みました」と反論するのは、芸能記事を担当するフリーライターだ。

「ドラマが始まってから終わるまで、ジェットスターの文字かマークが常に映っていました。オフィスにはポスターが貼ってあり、研修のシーンは本物の制服を使う、という具合です。ジェットスターの文字が見えなくなる場面と言えば、銭湯で主人公たちが風呂に入るところと、下宿で食事をする場面くらいだったと思います。何もない野外のシーンでも、登場人物が首から提げているストラップに『ジェットスター』の文字が書かれていましたから、いくら何でも、やりすぎではないでしょうか」

 このドラマでジェットスター・ジャパンは「特別協力」とクレジットされている。描写にリアリティが出たのは視聴者にとってメリットだが、「トレードオフの関係として、ある種の宣伝臭が出てしまったと思います」と指摘するのはライバル民放キー局の関係者だ。

「ドラマ自体は、私も面白く見ました。個人的には黒島結菜さん、北村匠海さん、そしてキムラ緑子さんが印象に残りました。ただ、結論から言うと、2時間の長いCMを見せられたという感想は否定できませんね。もちろん普通のドラマは架空の航空会社を設定します。百歩譲って、JALやANAが舞台だったなら、日本人には公共交通機関という側面もあるでしょう。しかしジェットスター・ジャパンさんとなると、登場する必然性に乏しいのは事実だと思います」

 そのため、この関係者は「これほどジェットスターを前面に押しだしているのだから、番組提供でスポンサーとして最初に紹介されるのだろう」と思っていたと言う。だが、現実は違っていた。

「筆頭はGoogleさんでした。放送されたGoogleのCMは、ドラマに出演している黒島結菜さんが主役でした。最近、流行しているドラマと一体化したCMだったのですが、私の予想とは全く異なり、ジェットスター・ジャパン社のCMが流されることは全くなかったのです」

 これほどまでにジェットスター・ジャパンを取り上げているのだ。常識的に考えれば、ドラマの制作費を負担していると考えるべきだろう。そこでドラマを制作した関西テレビに取材を依頼すると、文書で回答があった。

「新時代の象徴として、男性キャビンアテンダントを一つのテーマとしたドラマを制作したいと、ドラマ『FLY! BOYS, FLY! 僕たち、CAはじめました』を企画いたしました。その舞台としてジェットスター・ジャパン様のご協力を得て本ドラマを制作いたしました。ドラマの制作過程に関する詳細については控えさせて頂きます。ご理解の程よろしくお願いいたします」

 Twitterに「フジテレビ ジェットスター」と入力すると、興味深いツイートが多数表示される。以下に紹介するものなどは、鋭い指摘と言えるのではないだろうか。

《最近、深夜に朝日放送系列ではピーチのドラマやってるけど、フジテレビ系列ではジェットスターのドラマやってる。なんでか?》
(註:デイリー新潮の表記法に合わせるなど、文章の一部に修正を加えた)

 ツイートで「朝日放送系列」とあるのは、7月7日から9月22日まで、テレビ朝日系列で放送された深夜ドラマ「ランウェイ24」だ。主演は朝比奈彩(25)で、制作が朝日放送となっている。

 こちらの公式サイトでも、LCCのピーチが全面協力したことが謳われている。その部分を引用しよう。

《航空会社「Peach」が全面協力!注目のLCC舞台裏
関西国際空港を拠点とするLCCが舞台の今作では、国内線16路線、国際線16路線(2019年現在)を運航するピンク色の機体がトレードマークの「Peach」の全面協力を仰ぎ、空港内や実機での撮影を実現。注目の航空業界の裏側に迫る、リアリティーあふれるドラマです》

 詳細は不明なことも多い。とはいえ、低視聴率に苦しむテレビ業界で、制作コストが馬鹿にならないドラマを作り続ける苦労だけは、何となく伝わってくる。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月9日掲載

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