埼玉知事選・自公まさかの敗北で気になる二階幹事長の世渡り戦略

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 埼玉で波乱が起きた。

 8月25日投開票の埼玉県知事選で、自民・公明推薦のスポーツライター、青島健太氏(61)が敗れ、国民民主の参院議員だった大野元裕氏(55)が当選。

「大野氏は、4期16年間も知事をつとめた上田清司氏(71)の後継指名を受けました。事前調査では、選挙活動を早くに始めた青島氏が大きくリードしていましたが、あっという間に差は縮まり、ついに逆転を許してしまった」(地元記者)

 その原因はというと、

「公明党が機能しなかったことが一つです」

 一体、何があったのか。

「春の統一地方選、7月の参院選と選挙が続き、現場の創価学会員は疲弊していた。青島陣営が優勢だという、初期の数字に気が緩んだ部分もある。学会にパイプをもつ菅官房長官は危機感を覚え、投開票3日前に学会幹部に電話したものの、時すでに遅しでした」

 気になるのは、自民党の選挙を取り仕切る二階幹事長の動きだが、

「菅さんのほか、自民党は加藤総務会長、岸田政調会長を埼玉に投入して総力戦を展開したのに、肝心の二階さんは情勢悪化を察知してか距離を置き、現場では不満の声があがっていた」

 背後には、二階氏と上田前知事の近さ、仲の良さがあると誰もが見ている。

「上田さんは10月の参院補選に出馬するのが既定路線で、ほぼ当確の情勢。当選後は二階派の特別会員になるとの見方がある。二階さんは大野・上田の連合軍に自公陣営が葬られるのを座視した形ですが、ウラには上田さんとの“友情”があるというわけです」

 選挙戦中、大野選対がれいわ新選組の山本太郎氏に応援演説を頼もうとすると、

「上田さんが猛反対して計画は潰えました。“山本氏に名声アップの場を与えたくない”との判断もあったと言われています。もちろん、れいわと真っ向対立する関係にある自民党への目配せ、そして二階さんへの配慮が働いたと考えられますね」

 老獪な大人たちの世渡り。

週刊新潮 2019年9月5日号掲載

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