文在寅側近が韓国大手紙を「売国」呼ばわり…日本語版サイトが政権批判の援護射撃に

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輸出管理強化を巡って引用された記事

 そんな保守系大手紙の記事が日本の政治家やメディアに引用されることにも、韓国の左派は神経を尖らせている。自民党の小野寺五典・安全保障調査会会長は輸出管理強化に絡み、7月5日放送の「プライムニュース」(BSフジ)で「大量破壊兵器に転用可能な戦略物資が、韓国から違法に輸出されているのが急増している」「第三国経由で北朝鮮やイランに運ばれた可能性もある、と報道されている」と述べた。その根拠とされたのが、「朝鮮日報」2019年5月17日付の記事。より詳しくいえば、記事中に登場する「韓国の保守系議員」が示した資料だ。

 だがこの記事に対して地上波テレビキー局のMBCは、資料は違法輸出を未然に摘発した事例の統計、「急増」は資料の一部期間だけを切り出した誇張、北朝鮮やイラン云々は一専門家の推測コメントにすぎない、などと反論。また左派系のメディア批評紙「メディアオヌル」は、「この記事はウリ共和党議員の主張を検証せずに書き写している」という批判の声を紹介した。急進的保守の「ウリ共和党(旧・大韓愛国党)」は、朴槿恵の「無罪釈放」を要求している議員2人のミニ政党だ。

 こうした記事が、両国間の対立が先鋭化する問題を巡って、日本側の韓国批判に利用される――。少なくとも韓国の立場から見れば、この構図が「売国的」と映るのも無理はないだろう。

 日本のネット空間を舞台として、保守派の文政権批判を援護射撃してきた韓国紙の日本語版サイト。大統領官邸からの名指し批判という異例の展開に、政権と保守派の対立はいっそう混迷を深めることになりそうだ。

高月靖/ノンフィクション・ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月24日掲載

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