堺雅人「半沢直樹」vs福山雅治「集団左遷!」 銀行ドラマで2人の演技はどこが違う?

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顔で得

 さて、堺の演技の特徴はというと、演劇通は「舞台に立つと『そこに堺がいる』という強い存在感を放つ。どこにいてもすぐ分かる」と評する。身長は172センチと決して高くないが、舞台上では隙がないので、得も知れぬ存在感がある。

 ドラマでの堺は知られているとおりで、変幻自在であり、どんな人物であろうが扮してしまう。たとえば、やはりヒット作の「リーガル・ハイ」シリーズ(12年、13年、フジ)では、名声欲、物欲、自己顕示欲など欲だらけで、他人のことなど考えない敏腕弁護士・古美門研介を演じた。半沢とは全く違うキャラクターだ。

 古美門の人物像を文字で説明すると、とても視聴者の共感が得られそうにない男なのだが、堺の演技力によって不思議と憎めないキャラクターになっていた。演技力のない俳優が演じたら、ただの悪徳弁護士になってしまうはずだ。

 実は「半沢直樹」もそうなのである。半沢の口癖が「倍返し」なのはご存知の通りだが、汚い相手に勝つためには手段を選ばない男でもある。ときにはダーティーなこともする。クリーンな男ではなかったにもかかわらず、多くの視聴者の共感を集めたのは、堺の演技がうまいからにほかならない。

 堺は顔で得している面もあるだろう。福山のように美形だと、演じる役柄が狭められてしまう。堺も二枚目ではあるものの、美形とは言い難い。うまくて美形ではないから、どんな役でもハマりやすい。

「半沢直樹」の続編は制作までに7年もかかった。その理由についてさまざまな憶測が飛び交っているが、単に堺が続編への出演にあまり気乗りしなかっただけではないか。

 珍しいことではない。

「多くの俳優は続編の制作を嫌がる。その役のイメージが染みついてしまうし、俳優としての成長も期待薄ですから」(前出・映画監督兼ドラマディレクター)

 堺が「半沢直樹」に再び出ることにしたのは、本人がそれに俳優としての意義を見出したからなのだろう。

 前作とは少し違った半沢を見せてくれるはずだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月2日掲載

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