24時間営業問題、セイコーマートを見習っては(KAZUYA)

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 セイコーマートといえば、僕のような北海道民からすると慣れ親しんだローカルコンビニです。

 自社ブランドの製品が多く、手頃なお値段なのも嬉しいところ。特に良いのが、店で調理を行う「ホットシェフ」です。ファミリーマートの「ファミチキ」やローソンの「からあげクン」などスナック感覚のチキンは数あれど、個人的にはホットシェフのフライドチキンが一番好きです。

 経営も特徴的です。近年のコンビニ業界といえば24時間営業が当たり前になっているのに、セイコーマートは深夜閉店している場合が多く、元日は店自体休んだりします。そしてフランチャイズ展開で出店攻勢をかけるのではなく、大半が直営店なのも面白い。過疎地域にも出店し、これまで築いてきた販売網で利益を出しつつ北海道の社会インフラとして機能しています。

 最近は人手不足が深刻で24時間営業のコンビニは人材の確保が大きな問題です。そんな中、大阪でセブンイレブンのフランチャイズ加盟店が人手不足を理由に24時間営業をやめ、6時から25時までの短縮営業に切り替えたため、本部と揉めているのが話題になりました。本部的には、現場がいくら疲弊しようと店を開けさせた方が、売上に対するロイヤリティーで儲かりますから続けさせたいのでしょう。24時間営業に戻さないと契約を解除すると通告し、違約金1700万円を求めるとも……。

 このオーナーは昨年奥様を病気で失っています。当然奥様も毎日店で働いていました。1人で2人分の働きといっても限界がありますし、24時間営業を続けるなら16時間は働かないと店が回らないそうです。やはり深夜は人も集まりませんし、人件費もかさみますからオーナーが無理をすることになります。

 消費者からすると便利だけど、24時間営業への固執と人手不足等複合的要因で現場が疲弊していることを考えると、複雑な心境です。個人的には繁華街など大きな需要がある店舗以外は24時間営業をやめるべきだと考えます。

 対策として24時間営業を続けるために本部が一時的に人材を融通するにしても、5年で約5千店舗も増えたセブンイレブンですから、もはや許容範囲を超えているのではないでしょうか。

 人がいないからと妥協して採用を行えば、不適切行為を撮影してネットにアップする等、昨今話題になっているバイトテロが発生するのは目に見えています。セイコーマートのように店舗に応じて、柔軟な営業時間を実現したらいいのです。

 人手不足を外国人労働者で補おうとするのではなく、身の丈に合わせるべきでしょう。深夜営業はなきゃないでなんとかなります。わかっていれば営業時間中に買えばいいだけですし、疲弊する人を量産してまで24時間に固執する必要はありません。

 ファミリーマートは2年ほど前から深夜の来客が少ない店舗で24時間営業をやめる実験をしているといいます。この動きが広がることを願います。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者60万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2019年3月7日号掲載

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