マーク・パンサーが見た「安室と小室」 彼女だけは自分を貫いてた

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孤高と寂寥

 97年にダンサーのSAMと結婚し、翌年長男を出産、99年に実母を義理の叔父に殺害される事件が起きるなど、激動の20代を過ごす安室。しかし、事件後も10日余りで復帰し、トップをひた走ることを止めなかった。そして2001年に小室と袂を分かつ。この時期、音楽業界全体も変革期にあった。

「iTunesが生まれて配信サービスが出てきた。CDセールスが絶対的価値だった小室さんがプレッシャーを感じ始めた頃です。この初期微動を安室ちゃんは察知したんでしょう。物ではなく自分自身を売る時代が来ると。それでセルフプロデュースに舵を切るのです」

 その後の2人の人生は明暗を分ける。安室は、ライブ中心の活動が功を奏し、全世代の女性から憧れと支持を集める。一方の小室は、ヒット曲をなかなか生み出せない。そして、08年に5億円の詐欺容疑で逮捕、翌年に有罪判決を受けている。

 18年、人気絶頂の中での引退が社会現象になった安室に対し、不倫報道の釈明会見で引退を表明した小室。孤高と寂寥のコントラストがより強まった。

「カジノで大勝ちしている時に止めるのと同じくらい、人気が続く中での引退はアーティストにとって難しい。それが出来たのが安室ちゃんで、夢を追い続けたのが小室さん。どちらが失敗ということもない。僕と小室さんの2人でクラブでDJしてた2、3年前だって楽しそうにしてましたしね」

 マークは前を見ている。

「結成25周年には東京五輪、30周年には大阪万博がある。僕がglobeの灯を消さないでいれば、メンバー全員が揃ってライブをする奇跡が起こると思っている」

 年号で区切れない熱い想いが灯っていた。

週刊新潮 2019年1月3・10日号掲載

ワイド特集「平成30年史の『俗物図鑑』」より

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