ラーメン月8600円で食べ放題、カフェや居酒屋が月3000円で飲み放題、月額制がブームのワケ

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高い宣伝効果

 だが同時に「これで利益が出るのか?」という疑問も浮かぶ。どれくらいニーズがあるのかも、素人には分からない。そこで、フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏に取材を依頼した。

「人気を集めるサービスとなり、採用する店が増えていく可能性は高いでしょう。私が個人的に感心した取り組みは、吉野家とはなまるうどんのコラボ、そしてfavyが運営するcoffee mafiaです。前者は10代から40代の男性に話題を呼ぶ企画であることは言うまでもありません。吉野家、はなまる、両社のメインターゲット層でもあります。自然にSNSなどで拡散すると考えられ、宣伝効果だけでも相当なものがあるはずです」

 一方のcoffee mafiaは、午前8時から午後11時まで営業をしており、昼はランチ、夜はアルコールと料理を提供している。ここが肝のようだ。

「月額制は当然、1回当たりの客単価は下がります。しかし、店のファンとなり、リピート回数が増えれば、利益高も上がります。Coffee mafiaの場合、最初はコーヒー飲み放題が目的でも、顧客が店舗に足を運ぶ回数が増えれば、来店時にフードメニューをキャンペーンで訴求することで客単価のアップが期待できます。しかも朝から夕方までカフェとして営業し、夜はアルコールや料理を提供するわけですから、これはいわゆる『二毛作営業』です」(同・千葉氏) 

 飲食店が営業するために借りる店舗は、24時間営業を除けば、必ず空き時間が生じる。そこで、店の休み時間に、別の店として営業を行うのが「二毛作営業」だ。

 例えば、千葉氏が訪れる新宿三丁目のタイ料理店は、早朝7時にオープンし、夕方に店を閉める。そして、夕方以降はガールズバーに“変身”し、深夜まで営業を続ける。

 こうした二毛作営業の最大メリットは、1店舗で2軒の店を営業できるため、家賃コストを半減させられるところにある。

「以前、favyは『C by favy』という店舗でムール貝や生ハムの『月額会員制食べ放題』を実施して大きな話題を呼びました。この店はfavyの支社が夜になると空きスペースと化すことに着目し、オープンさせたという経緯があります。仕事に使うのが本来の目的ですから、こちらの二毛作は家賃半減どころかゼロと見なすことも可能です。こうして家賃コストを圧縮し、浮いた運転資金を月額制という顧客満足度が極めて高いサービスに転嫁するわけです」(同・千葉氏)

 月額制にコストを投下すれば、宣伝広告費の削減も可能だ。月額制は話題を呼び、新規客の来店動機につながる。不特定多数の顧客をターゲットにする従来型のCMより、こちらの方が費用対効果は高いだろう。

 我々素人が「月額制食べ放題・飲み放題」と聞けば、「それで利益が出るんだろうか?」と心配になるが、さすがプロ。しっかりと採算が合うようにコストをコントロールしているわけだ。

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