東大以上に狭き門? 志願者が急増する「医学部」事情

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高い医学部人気

 ところで開成が私立高校の東の雄なら、西の雄は灘だが、医学部志向はさらに強い。昨年の卒業生は220人で、浪人をふくむ東大合格者は95人。そのうち理科三類が19人を占め、ほかの国公立大医学部も京大の21人を筆頭に64人で、東大と合わせ83人にもなる。

 関西でさえ大企業の本社は少なく、企業人として活躍するには限界がある。だから優秀な高校生の目は医学部に向きがちだが、

「地方のトップクラスの公立高校などでは、高校1年の段階では、6、7割の生徒が地元の医学部志望だったりします」(同)

 この状況を踏まえて、近年の医学部入試を再度、梅田氏に概観してもらう。

「日本には国公立大50校、私大31校、それに防衛医大を加え82校の医学部があり、1校あたりの定員が110名前後ですから、定員は全体で9000名ほどになります。しかも、この10年で医学部の定員はおよそ1800名も増えましたが、それを上回る勢いで志望者が増えています。志願倍率は昨年のデータで国公立大の医学部医学科が4・8倍、私立が18・5倍。他学部を含めた国公立大全体の倍率が2・8倍、私大が3・7倍ですから、医学部人気の高さがわかります」

 もっとも、ここ2、3年は多少、足踏みしている。

「景気が低迷すると、就職不安から資格志向が強まります。医師免許は資格の最たるものですから、医学部人気が沸騰するのです。ここ2、3年は就職状況が改善し、受験界では“文高理低”という状況が続いているものの、医学部人気は高止まりしています」(同)

週刊新潮 2018年3月15日号掲載

特集「志願者急増という『医学部』の『人気』『学費』『将来性』の最新研究」より

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