コツコツ貯めた3000万円が… 被害者が明かす「仮想通貨詐欺」の手口

IT・科学週刊新潮 2018年3月8日号掲載

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 480億円相当のビットコインを消失させたマウントゴックス事件が起こった4年前、仮想通貨取引の参加者は1万人ほどに過ぎなかった。しかし、いまでは300万人へと急増。一大ブームとなっているわけだが、その裏では「仮想通貨詐欺」も横行しているのだ。

 栃木県在住の68歳の男性が苦渋の表情を滲ませる。

「5年ほど前、“コンテナレンタルに投資しませんか?”と、営業の電話がかかってきました。借り手も探すし、売りたくなったら所有権を買い取るからとの説明で、疑いもせずに1口50万円を出した。ところが、月々2250円の配当が得られるはずだったのに、だんだんと支払われなくなりました」

 すると、今度は別の営業マンから“コンテナの業者から損失分を補填するように頼まれた”との電話があったという。

「営業マンはイギリスのロイヤルコインへの投資を勧めてきました。値上がり間違いなしだから、コンテナレンタルの損失はすぐに取り戻せると。結局、100万円を出すことにしたのですが、未だに現物のコインは手元に届いていません」(同)

 その最中、営業マンは別の投資話も持ちかけてきた。

「Rコインなるものを扱う会社の社員を連れてきたのです。Rコインはインターネットを使えなくても、仮想通貨のリップルと交換できることをウリにしていた。一夜にしてすごく儲かると、価格が急上昇しているグラフも見せられました。挙げ句、定年まで働いてコツコツ貯めた3000万円を失うことに……」(同)

 実は、コンテナレンタルの業者からRコインを扱う会社の社員まで全員がグルだった。今年に入ってから、その詐欺グループは次々に逮捕されている。

 次に、東京都在住の66歳の男性が明かす。

「最初、二酸化炭素の排出権取引に250万円を投資していました。一時、それが300万円になったと聞いたので決済を求めたら、相場の大暴落でパーになったと説明されたのです」

 弁護士を立てて交渉すると、175万円だけ戻ってきたという。

「その間に、リップルを扱っているという会社の社員からも営業の電話があって、たまたま排出権取引の話をすると、やめた方がいいと忠告されたことがあった。結局、その人の言った通りになったから信用して、あらためて電話があったとき、その175万円全部を預けてしまった。3年前のことです。それから、儲かってますよと報告してくることもあったので、何度も払い戻しを要求しているのですが、一切応じてくれないのです」

 現在、返金を求めて訴訟中である。

 国民生活センターに聞くと、

「仮想通貨に関する相談は年々増加し、昨年度は847件、今年度はすでに2085件に達しています。これまでで最も高額な被害は、“80代の母が、来年には2倍になるからと6000万円を騙し取られた”という息子さんからのものです。今年度に入ってからも、高額なものですと、年利250%の新しい仮想通貨があるという謳い文句に、4000万円を支払った40代男性のケースがありました」

 なぜ、詐欺被害に遭ってしまうのか。

 投資トラブルに詳しい荒井哲朗弁護士が解説する。

「意外と若い人も仮想通貨詐欺に遭っていますが、高齢者の場合はより深刻です。老後への不安から、詐欺に一度遭うと、損害を取り戻そうとして、流行りの仮想通貨詐欺で再び騙されてしまう。高齢者の2次被害がとても多い。詐欺師もそれがわかっているから、被害者名簿をもとに仕掛けてくるのです」

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