「みずほ」1万9000人削減を迫った「AI」と「統合後遺症」

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 北海道拓殖銀行の破綻から、今年で20年。生き残りのために都市銀行が合併して誕生したメガバンクが、新たな変革期に突入している。AI(人工知能)の導入やフィンテック、そして人口減などで“銀行員の大リストラ時代”が始まると報じられているが、一様に語ることはできないようだ。

「(従業員)1・9万人を2026年までに実数として減らす」

 11月13日、みずほフィナンシャルグループ(FG)を束ねる佐藤康博社長(65)の発言はグループの従業員のみならず、金融界に衝撃を与えた。

「みずほFGの従業員は、約7万9000人。向こう8年間で24%もリストラすると発言したのには驚きました」

 こう語るのは、全国紙の経済部記者だ。

「目下、銀行業界は収益構造の転換を迫られています。マイナス金利の影響も小さくありませんが、コンビニに設置されているATMやネットバンキングの台頭で、個人顧客を対象にしたリテール部門が苦戦しているため、店舗戦略の見直しは喫緊の課題。佐藤社長も、人員削減と同時に約500ある店舗のうち100カ所の統廃合を発表しています」

 個人顧客の“銀行離れ”は年々加速している。富士通総研が昨年9月に発表した調査によれば、“銀行窓口を年1回程度利用”と、“1回もなし”と回答した人の合計は全体の45%を占めている。みずほ銀行の行員に聞くと、

「うちは全都道府県に営業店があることを売りにしてきました。その多くが駅前などの一等地。人件費やシステムの維持管理費など多大な経費がかかる一方で、窓口を利用する来店客が1日500人にも満たない営業店も少なくないのです」

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