小池新党の無責任すぎる後出し公約 自民を意識で「消費税アップ凍結」

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 かつて大平正芳総理が消費税導入を主張して1979年の選挙で敗北したように、消費税は歴代政権の“鬼門”になってきた。それを知ってか、安倍総理の増税策に小池都知事が繰り出してきた後出しじゃんけん。あまりに無責任ではないか。

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 政治部デスクが言う。

「希望の党の公約原案では、消費増税凍結、その税収の穴埋めとして国有地の売却や公共事業の削減を掲げています。これは明らかに自民党の公約を意識してのことです」

 安倍総理は今回の解散の“大義”として消費税の使途変更を問う、としている。

「2年後の10月に10%に消費税を引き上げれば、税収が約5兆円増える計算になる。4兆円を国の借金返済に充てるとしていましたが、そのうち2兆円を教育無償化などの財源にするとしたのです」(同)

 リーマン・ショック級の危機が起こらなければ、予定通り実施するというから、衆院選はさながら、「増税vs.増税凍結」という構図になったわけだ。

「増税は選挙では不利ですから、公約面では小池さんが圧倒的に有利です」(同)

 もっとも、増税凍結は日本の財政危機を助長するだけだ、と指摘するのは、シグマ・キャピタルチーフエコノミストの田代秀敏氏。

「2016年度一般会計歳出の約97兆円のうち、国債の利払いだけで23兆円を超えています。25年度には長期金利が4%を超え、予定通り消費増税しても国債利払いが41兆円以上に増えると、国は試算しています。凍結すれば、もっと増えます。凍結の財源とする国有地売却は一時的な穴埋めにしかなりません。海外では早くも“コイケノミクス”と揶揄されており、“迫りくる選挙は日本の財政再建にとって命取りになりかねない”と報じられています」

 エコノミストの中原圭介氏もこう言う。

「これから超高齢社会を迎えるにあたり、本当なら痛みを伴っても税収を増やさなければならないのに、そうしないのは目先の票集めと言わざるを得ません」

 ポピュリストの登場に泣くのは未来の有権者なのだ。

週刊新潮 2017年10月12日神無月増大号掲載

特集「小池百合子の希望・横暴・票泥棒」より

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