さらば本田圭佑――FWもMFも居場所なし 入れ替わる“顔”の歴史

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 余春秋三十有二始見二毛(32歳で初めて自分の白髪を見つけた)――晋の詩人はこう詠んだ。来年のW杯ロシア大会で32歳になるこの男は何を見る。

 8月31日、勝てば本戦出場が決まる大一番の豪州戦。チームが2-0で勝利する間、本田圭佑はひたすらベンチを温め続けた。

「そもそも23人のメンバーに本田が入った時点で、不自然でした」

 とスポーツ紙サッカー担当記者が語る。

「通常は各ポジション2人選ばれますが、本田のポジションである右FWは3人で、明らかに本田が3人目。“本田を落とすとチームが動揺する”という配慮が働いたと思われます」

 右FWは浅野拓磨(22)が先発し、先制ゴールを決めた。後半途中でベンチに退いたが、代わりにピッチに立ったのは本田ではなく久保裕也(23)だった。

「本田は、この2人にかなわないことを自覚していて、かねてから“FWでなくMFで使ってほしい”と監督に何度か直談判しています」

 と先の記者が明かす。なるほど、古巣ミランや移籍したメキシコ・パチューカで彼はMFを務めている。

「でも、本田をMFで使う気はハリル監督にはさらさらない。というのも、彼の守備力を全く評価していないのです。“そんなにMFをやりたいなら、まず所属チームで結果を出してみろ”と思っているでしょう。一方で彼はハリルジャパンで9ゴールと岡崎慎司と並んで最も得点を挙げている、つまり監督にとって“点を獲る選手”、だからFWとなる。まあ、今となってはそれも昔の話なのですが……」

 9月5日、消化試合となったサウジアラビア戦。本田は右FWで先発出場したが、いいところなく、チームも0-1で敗れた。

「起用には“本田に引導を渡す”という含みがありました。本田もそれを承知していて、試合後、記者に対して代表落ちを覚悟したかのような発言をしています」

 1998年W杯フランス大会ではカズが代表落ちし、10年南ア大会では中村俊輔の出番はほとんどなかった。本番を前に“チームの顔”が入れ替わる……ロシアでもそんな歴史が繰り返されるのだろうか。

週刊新潮 2017年9月21日菊咲月増大号掲載

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