楽天の命運にぎる則本昂大 “奪三振”どこまで

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 楽天とソフトバンクのデッドヒートがしばらく続きそうなパ・リーグのペナントレースだが、その楽天の投の二枚看板の一人、則本昂大(たかひろ)投手(26)の“奪三振”ショーの成否が、チームの優勝をも左右しそうだ。

 惜しくも世界記録更新こそならなかったが、4月19日から6月にかけて8試合連続の2ケタ奪三振の達成は、記憶に新しいところ。その後も三振の山を築き、7月24日時点での則本の奪三振数は134個。2位の西武・菊池雄星に11個の差をつけている。

 彼はプロ入り2年目の2014年に204個で初の奪三振王に輝き、15年、16年もキングとなり今季もとなれば4年連続。江夏豊や鈴木啓示の6年連続には及ばないが、あの江川卓の3年連続を超える。

「球種はストレートとスライダー、それに落ちるボール。あれだけ三振が取れるのは基本線として強いストレートがあるから。今、主流のツーシームやカットボールではなく、回転のかかったフォーシームで投げる。少なくなった本格派右腕といえるでしょう」

 とは、阪急一筋で通算284勝をあげた野球解説者の山田久志氏だ。則本の自己最速は、先日のオールスター戦で記録した158キロ――。

「あえて似た投手をあげるとすれば、板東英二が思い浮かびます。打たせて取るのではなく、あくまで剛球で抑えようとする。上背こそないが、ハートで投げこんでくる。見ていて気持ちがいい投手ですよね」

 と、こちらは野球評論家の有本義明氏。則本の身長は178センチ。先輩の田中将大より10センチも低い。

 もうひとつ、注目すべき数字がある。1試合(9イニング)完投に換算した「奪三振率」だ。則本は現在、11・94。このままいけば、大谷翔平が持つ年間11・19の記録を塗り替えることになるのである。

「則本なら、十分に達成可能な記録でしょう。ただ、投手は夏場以降が正念場。疲れがたまってくる。また優勝争いをしているチームの宿命で、三振を狙いにいくのではなく、勝つための投球が求められる。その上で奪三振率記録が残せるのであれば、それは天晴れですね」(山田氏)

 もっか球界最高齢監督の梨田さん(64)が宙に舞うか否かは、この怪腕にかかる。

週刊新潮 2017年8月3日号掲載

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