「郵政3社」好スタートで「年末相場」の勘所

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「順調な滑り出しだったと言っていいでしょう」(経済部記者)

 11月4日、郵政3社上場。果たして初値がどうなるのかが注目の的だったが、日本郵政が1400円に対して1631円、ゆうちょ銀行が1450円に対して1680円、かんぽ生命が2200円に対して2929円と、いずれも売り出し価格を大きく上回ったのだ。

「特に買い気配が強かったのが、かんぽ生命でした。売り出し株数が3社の中で一番少なかったことに加え、日本生命によるナショナルオーストラリア銀行の生保部門買収が報じられ、事業の成長性が高いと見られたことから、翌5日には一時4000円を超えるほどの人気となったのです」(同)

 もっとも6日には反落し、10日の終値は日本郵政が1755円、ゆうちょが1720円、かんぽが3680円と落ち着いた感がある。NTT株上場の時のように急騰することもなければ、初値を付けたあとズルズルと下がることもない。株式評論家の植木靖男氏は、これを“揉み合い”と見る。

「新規公開で買った投資家の中には、すでに売ってしまった人も多いようです。ところが、買いそびれた人が飛びつくには高値感があって、買いは意外に少ない。また投資家の中には、郵政株を“ずっと持っていたい” と売らない人も多く、どんどん上がる、というのは難しいでしょう」

 高値で売り抜いて儲ける必要はない、という投資家もいるのだ。

「それは郵政株が“資産株”として受け入れられたということなのです」

 と言うのは、経済ジャーナリストの田部正博氏。

「長期に亘って保有可能で、安定的な配当も期待できる銘柄として、かつて高い人気を誇った電力株に代わる存在になったと言えます。その意味で、多少下がってもすぐ買いが入り、緩やかな上昇基調は今後も続くと思います」

■12月に2万円台回復も

 日経平均株価も強含みの展開で推移しているが、これは郵政上場効果なのか?

「逆で、上昇相場に転じたタイミングで郵政が上場したと見る方がいい」(同)

 なるほど終値ベースで見ると、10月14日時点で1万8000円割れだった株価は、その後じわじわと上昇を続け、上場直前の11月2日には1万8683円。

「ちょうど中間決算発表の時期に重なったのですが、SMBC日興証券の調べでは、東証1部上場企業の経常利益と純利益が2年連続で過去最高を更新しそうだ、という好調ぶり。これが買い気配に反映したのが大きい」(先の記者)

 では、この流れは年内いっぱい続くのだろうか。植木氏はこう見立てる。

「途中、調整で500円前後の下げもあるかもしれませんが、それでも12月上旬には2万円台に回復するのではないでしょうか」

 特に、11日月6日に発表された、アメリカの10月の雇用統計が、予想外の高数字だったことが大きい。

「これで12月のアメリカの利上げがかなり現実的になってきました。もし利上げされれば、円安が進む。国内市場は“円安=株高”のイメージが強いので、これが株価を上げる要因になるでしょう」(田部氏)

 アメリカの利上げで常に懸念されるのが、中国をはじめとする新興国から資金が流出すること。だが、

「中国に関して言えば、金融緩和政策をとるなどの効果で、景気が戻りはじめており、アメリカの利上げの影響はさほど大きくないのではないか」(植木氏)

 年内最高値の2万952円突破までたどりつけるか。だが――。

「市場には“2日新甫(しんぽ)は荒れる”という格言があります。月初の立会が2日月曜日から始まる月の相場は荒れる、というもの。11月がまさにこれです」(田部氏)

 好事魔多し、油断大敵。

週刊新潮 2015年11月19日号掲載