老舗「京橋千疋屋」を襲った“500倍塩素”の後始末

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“杭打ち”偽装によってまたもや崩れ去った“有名ブランド=安心”という錦の御旗。老舗が軒を連ねる東京・京橋の界隈も、対岸の火事とは言えなくなった、か。

高級手土産の代名詞

 創業1881年の高級果物専門店「京橋千疋屋」の“塩素騒動”である。

「事の始まりは10月15日午前11時頃。京橋本店1階のパーラーで、ちょっと早いランチを楽しもうとやってきた2組の女性客が、次々に舌の痺れや頭痛を訴えたんです」(社会部記者)

 異常を訴えた5人中4人が病院で手当てを受けた。幸い命に別状はなかったが、皆が胃腸炎と診断されたのだ。

「提供されたコップの水を検査機関が調べた結果、水道水の500倍以上の濃度の塩素が検出されました」(同)

 この濃度を測定値で表すと500ppm。プールの消毒基準値は0・4から1・0ppmの範囲というから、尋常ではない濃さなのだ。

 で、都は21日から3日間の営業停止処分を下したものの、肝心の塩素混入の原因は分からずじまい。店は25日から営業を再開しているが、常連ならずとも大いに不安が残る。

「確かに混入経路については分かっておりませんが、今回は通常の食中毒として処分と指導を行いました」

 と言うのは、京橋エリアを管轄する中央区保健所だ。

「店内を巡回したところ、お冷を入れるピッチャーが客席から見える場所にあったので、囲いを設けて外部からの接触を避けられるよう指導を致しました」(同)

 再発防止に万全を期したと胸を張るが、店内部で混入した可能性はないのか。

「店からは従業員が誤って混入させてはいないとの回答を得ています。調理場には市販の塩素系消毒剤があるのを確認致しましたが、フキンを洗うのに使うもので問題はない。改めて、お客様に提供するものから遠ざけるように指導致しました」(同)

 念には念を入れての再オープンとなったが、何者かの故意によるものだとしたならば、再び犯行が繰り返される懸念もある。警察は事件性の有無も含めて、慎重に捜査を続けるという。

週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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