メジャーリーガー「青木宣親」は脳震盪の連続で選手生命に黄信号

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「痛がるな デッドボールは 儲けもの」なんて川柳みたいにお気楽なのは草野球だけ。メジャーリーグのSFジャイアンツでプレーする青木宣親外野手(33)は、8月9日のカブス戦で受けた頭部への死球と、12日の外野フェンスヘの激突による2度の脳震盪で戦線を離脱。目下、リハビリ中だが、早くも選手生命に黄信号が灯っている。

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「ここ数年、メジャーリーグでは選手の脳震盪が深刻な問題と化しています。完治しないケースも多く、忘れた頃に襲ってくる、車酔いのような症状に苦しむ選手も少なくありません。首位打者やMVPなどのタイトルを取った優秀な選手も例外ではなく、大きく成績を落としたまま復活できない選手もいるほどです」

 と、指摘するのはメジャー担当記者。青木の最初の脳震盪は、直径約7・5センチ、重さ約145グラムの硬球が148キロという高速で右頭部を直撃したことが原因だ。その衝撃は重さ10キロの鉄球を高さ1・3メートルから落とした時とほぼ同じ。強化樹脂製のヘルメットの上からでも、脳へのダメージが小さくないことが想像できる。

「青木は試合後も“頭が痛い”“気持ち悪い”と、苦痛に顔を歪めていました」

 2度目は、レフト方向へのホームラン性のフライを追っている時に起こった。

「ギリギリ捕球はできましたが、勢い余ってフェンスに張られた固いウレタンマットに背中から激突した。同時に後頭部もしたたかに打ち付けてしまいました」

 青木は不調を訴え、1週間の休養を余儀なくされた。8月20日からチームに復帰したものの、その日から5試合連続で三振を喫するなど、らしくない姿が目につくようになったのである。

「青木は極端に三振が少ない選手として有名で、5月から7月の3カ月で三振は僅か6つ。打率も目に見えて下がり始め、それまでの3割2厘から2割8分7厘に急降下。大きく数字を下げてしまいました」

 そして試合に出続けた2週間後の9月5日、再び脳震盪の症状が青木を襲った。

「胸が押されるような苦しさで目が覚めたそうです。すぐに専門医を受診したところ、数週間のリハビリが必要と診断されました。青木はこのままシーズンを終える見込みです」

■恒久的な脳障害も

 東京医科歯科大学脳神経外科講師の稲次基希氏が、脳震盪の怖さを解説する。

「脳震盪は、脳の傷ついた部位や影響の見極めが非常に難しい。ラグビーも脳震盪が多いので、独自の厳しい基準が設けられています。1回目は1~2週間の休養が、2度目は1カ月、3回目になるとそのシーズンは出場不可になります。脳震盪が繰り返されると、モハメド・アリのように手足の震えや記憶障害に悩まされる、パーキンソン病を発症することもあります」

 早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の鳥居俊氏も、

「青木選手は最初の脳震盪から3日で復帰しましたが、せめて1週間は休むべきでした。脳が完全に回復しないうちに再び衝撃が加えられると、セカンドインパクト・シンドロームと言って、軽い衝撃でも脳に重大な影響を及ぼすと言われています。選手生命はおろか、恒久的な脳障害に苦しむことにもなりかねません」

 日本を代表するリードオフマンの“浮沈”はいかに。

「ワイド特集 浮沈七度の決算書」より

週刊新潮 2015年10月8日号掲載