71歳「園まり」が疲労困憊の極致に達した98歳実母の「老老介護」

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 今に続く3人組アイドルのさきがけともいえるのが、およそ半世紀前に人気を博した「スパーク3人娘」であった。中尾ミエ、伊東ゆかりとともに国民的アイドルとなった園まり(71)は現在、『道しるべ』で42年ぶりに映画出演中。その一方、私生活では病と闘いながら「老老介護」の真っ只中だという。

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 都内の24時間ヘルパー付き高齢者用マンション。98歳になる母・千代さんが食事をとる傍で、園が振り返る。

「母は79歳の時に大腸がんを患って以来、介護用マンションに住んでいました。2011年1月、私の付き人でもあり母の世話も一手に引き受けてくれていた姉が、くも膜下出血で亡くなったことで、私の『老老介護』が本格的に始まったのです」

 慣れない介護と仕事との板挟みで、園は自律神経に支障をきたしてしまう。

「体に力が入らず、姉の死のショックもあって声が出なくなったこともあります。11年の3月でしたか、生放送のNHK『歌謡コンサート』をキャンセルしてしまいました。説明しても言い訳に聞こえるから、私が直接NHKホールに行ってスタッフの皆さんの前でワンコーラス歌ったのです。高音が全然出ず、その場で謝りました。こんなことは初めてでしたね」

 以降も、不調は続いた。

「3人娘として出るコンサートでは、2人が私のかすれ声にかぶせて『逢いたくて逢いたくて』を歌ってくれましたし、ソロコンサートの時は舞台袖のマネジャーが“陰マイク”でフォローしてくれた。でもその頃、ステージ上で倒れたことが2回ありました」

■時には喧嘩もあり

 園の父は99年に他界。実弟も同年に急死しており、唯一の肉親として千代さんを支えながらも、疲労は募っていった。12年末には、

「母が急性腸炎にかかって衰弱し、完全な車椅子生活になってしまいました。もう私一人の手では到底カバーできなくなり、今住んでいる完全介護のマンションに移したのです」

 現在は、洗濯や食事などマンション側の担当者がおり、室内の風呂でヘルパーが体を洗ってくれるという。

「私も2、3日おきくらいに顔を出し、煮豆など母の好物を食事の時に追加して食べさせたりしています。日中はデイサービスにも通って好きな書写をしています。書いているうち、母の掌がしっかりしてきて、人間はこうも変わるんだなあ、と思いました」

 自身も07年には乳がんを患い、昨夏には映画出演に備えて白内障の手術をしたという園。満身創痍でこなしているわけだが、

「一番心がけているのは『後悔を残さない』こと。私と母は、ずっと苦労させられてきた父とは折り合いが悪く、父が入院した時も『どうしてお金を出してあげなきゃいけないの』なんて思っていた。でも、最後に尽くしてあげようと思い直したら、父の心も穏やかになって、亡くなる直前には絶縁状態だった母に病室で頭を下げていました。だから、母にも尽くせるだけ尽くそうと思っています」

 話し相手を務めつつ、時には、

「愚痴ってばかりいる時は、“そんな考えはダメ”って、本気で怒ることもあります。また、私の出演番組を見て容赦なく“あれは違うんじゃないの”と、髪型とかトークに厳しくダメ出ししてくるので、しょっちゅう喧嘩になっています。でも常に『いま何を欲しているか』を、母の立場になって思い巡らせていますよ」

 古希を過ぎて、歌う目標が一つ増えたというのだ。

「ワイド特集 人生劇場『土砂降りの日』」より

週刊新潮 2015年6月25日風待月増大号掲載

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