衆院に鞍替え成功したら「大島派」を捨てた「佐藤ゆかり」代議士

国内 政治 週刊新潮 2015年4月16日号掲載

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「政治は義理と人情だ」。衆院議長や自民党副総裁をつとめた大野伴睦の格言である。だが、自民党の佐藤ゆかり代議士(53)にとって、これほど縁遠い言葉はない。何しろ、衆院へ鞍替えした途端、恩義のある大島派に別れを告げたのだから。

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 ゆかり議員の議員バッジに対する執念は、凄まじいものがある。まず、郵政選挙で初当選したが、2009年の総選挙で落選。すると、10年の参院選(全国比例)へ立候補し、雪辱を果たした。しかし、今度は昨年末の総選挙で縁もゆかりもない大阪11区から出馬、衆院議員に返り咲いたのだ。

「衆院と参院を比べた場合、どちらが格上とは言い難い。ただ、大臣や党幹部になるには衆院議員の方が圧倒的に有利。佐藤さんが衆院に拘ったのも偉くなりたいからでしょう」(政治部記者)

 彼女が上昇志向の塊と評される所以(ゆえん)だが、

「実は1カ月程前、彼女は所属していた大島派を退会しています」

 とは、大島派関係者。

「09年に落選した後、早く国政に復帰したいというので、参院選出馬を画策した。その際、“うちのグループでやるなら、私が全面支援する”と声をかけたのが大島派の山東昭子元参院副議長。佐藤さんが参院選で当選できたのは、間違いなく山東さんのおかげです」

 参院選後、党内最少の大島派入り。昨年末の衆院選でも支援を受けた。

「衆院選の期間中、支援者から派閥について聞かれ“ニュートラル、フリーです”と発言。あれだけ大島派に世話になって、よくそんなことを言えるなと思っていました」(同)

■大きな派閥に魅力

 衆院議員に鞍替えしたら、即、派閥を捨てる。なんと薄情な人、と言う声が出ているそうだが、

「彼女からは『お世話になりました。一人になりたい』と挨拶がありました」

 と、山東議員が語る。

「衆院選で彼女を応援したのも、私たちには浮世の義理があるからです。昔と違って、小選挙区制では派閥の意識は薄らいできています。若い方は特になくなってきているのでしょう。あの方は、外国の生活が長かったので、日本人の感覚じゃないんじゃないかしら。クールといいましょうかね」

 衆院選前には、

「普通、参院から衆院選に出る場合、参院の両院議員総会で挨拶し、“応援よろしくお願いします”と一言頭を下げるものです。ところが、彼女はその会に来なかったので、“筋が違うじゃないの”と注意しました。もっとも、彼女は“徹夜で疲れていた”と釈明していましたが」(同)

 山東議員は、故田中角栄元総理に請われ、政界入りしたことで知られる。

「私は、角栄さんから『来るもの拒まず、去る者追わず』という精神を植えつけられておりますので、今回の件もそういうことです。でも、彼女は、どうやら大きな派閥に魅力を感じていたみたいですね。うちは小さくても大臣を出す非常に魅力的な派閥ですよ、と言いましたけどね」

 先の政治部記者は、

「彼女は、周囲に派閥離脱の理由を、私の地元では道路整備など公共事業をやる必要がある。弱小派閥にいては予算が獲得できない、と説明していたそうです」

 ポストと予算獲得のために大派閥へ。だから、あなたは嫌われるのである。

「ワイド特集 人間の証明」より