詩人気質の「戦中派」/『橋川文三 日本浪曼派の精神』

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 某日の朝日新聞の一面を見て驚いた。一面といっても朝日特有の「角度」をつけて書かれた記事ではない。下段の広告欄、俗に「三八(さんや)つ」といわれる書籍広告欄である。その出版社八社の新刊広告のタイトルに「橋川文三」という名前が二箇所も登場していたのだ。一冊が平野敬和『丸山眞男と橋川文三――「戦後思想」への問い』(教育評論社)、そしてもう一冊がこれから取り上げる『橋川文三 日本浪曼派の精神』である。

 丸山眞男の異端の弟子であり、吉本隆明と肝胆相照らし、晩年の三島由紀夫から一目置かれ、猪瀬直樹、片山杜秀といった異能の人にまで影響を与えた(二人は橋川の著作を読み、橋川研究室を目ざして明大の修士課程へ。

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