急逝した妻へ遅すぎる恋文/『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』猪瀬直樹

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 作家も政治家も決してまっとうな仕事とはいえない。売れなければ、当選しなければただの人、いや穀潰しでしかない。なぜか不安定な道に突き進んでしまう、そんな夫を支え、時には軌道を正し続けた妻――その関係がクリントン政権時代のヒラリー夫人と重なって見えた。本書の「夫婦愛」を絶賛する批評は多いが、著者はそれを望むまい。そう思うのは、私が穀潰し側の人間だからかもしれないが、私にはこれが、それまで家庭を妻に任せ続けわが道をひた走り、最後の最後には別れの言葉さえ言い忘れてしまった夫の懺悔の書にしか思えなかった。

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