庶民派の才人にとって戦争とは/『八代目正蔵戦中日記』

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 頑固一徹で怒りん坊、信心深くて働き者、それでも「欲シガリマセン勝ツマデハ」といった綺麗事なんかは唱えない。戦時下なのに朝酒も飲むし、窮屈な配給暮らしに不平を洩らす。これぞ典型的な「長屋の住民」だった落語家の戦中日記が出た。

 八代目林家正蔵(晩年は林家彦六。戦中は五代目蝶花楼馬楽)は今年が三十三回忌というから、とっくに過去の人のはずだ。なのに多くの人が身近に感じるのは、弟子の林家木久蔵(現・木久扇)が高座や「笑点」で、師匠のものまねをオハコにしてきたからだ。

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