絶妙な距離感が生み出す写真【書評】

アート

「ふるさとは遠きにありて思ふもの」。そううたったのは金沢出身の詩人室生犀星である。梅佳代は、最初の写真集『うめめ』に「早く柳田村(評者注・現石川県鳳珠郡能登町)からでたくて、カメラマンになればイチローとか芸能人と結婚できる」、そう思って写真学校に入学した、と書いている。念願かなって村を離れ、写真学校のある大阪、そして東京と住まいを移しながら、たびたび戻っては故郷の人たちを撮り続けてきた。
 最初の一枚は、グラウンドに水をまく二人の野球部員が写っている。ホースの先端から勢いよくほとばしる水がゆるいS字カーブにゆがんで空へと向かい、その下にかすかに虹がかかっている。

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