目黒バラバラ殺人 “室内に血痕なし”の警察発表は時間稼ぎだった

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 室内に何ら殺害の痕跡も残さず、防犯カメラにも姿を映さない。当初、ミステリー小説のようでさえあった、「目黒・女性バラバラ事件」。遺体発見から約2週間が経ち、容疑者逮捕の急展開を迎えてみると……。

 7月9日、東京・目黒区の公園の池に阿部祝子(ときこ)さん(88)の遺体を遺棄した容疑で捕まったのは、近所に住む無職の池田徳信(やすのぶ)(28)。

 社会部記者によると、

「阿部さんが自室のあるマンション3階のエレベーター前で親族と別れたのが6月19日午後8時頃。その晩、池田は金銭目的で、ベランダから侵入しました。まず、2階の家のベランダに上がったところ、鍵が閉まっていたため、さらに3階までよじ登ったのです」

 窓が開いていたので室内に入ると、就寝中の阿部さんが気付いたため殺害。遺体の切断は、部屋の包丁を使い、風呂場で行っていた。

「警察はカメラに不審者は映っていないと言っていましたが、実は、マンションから出ているのに、入った形跡がない人物がいると、早々に目星を付けていたのです。20日の早朝、リュックを背負った池田の姿が、エントランスのカメラに。翌21日にも、遺体回収のため、ベランダから再侵入し、スポーツバッグを提げて出てきました」(同)

 池周辺での映像もあった。室内に血痕がないと言っていたのも、証拠集めの時間稼ぎというわけだ。

 そうとは知らずに、殺害現場から500メートルほどにある築48年のマンションで、母親と平然と暮らしていた池田。地元の小中学校を卒業後、高校を中退し、一時は肉体労働のアルバイトをしたこともあるが、ここ数年は引きこもっていたという。

 小学校の卒業文集には、〈中学校へ行っても友達のことを忘れない〉と残していた一方で、同級生の一人は、

「顔も覚えていないし、ニュースで名前を聞いても思い浮かばなかった」

 と存在感はなかったようだ。忘れることができない事件を起こしたのは、皮肉なことである。

週刊新潮 2016年7月21日参院選増大号掲載

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