【トクホの大嘘】「魔法の成分」難消化性デキストリンは効き目ゼロだった(上) 血糖値の上昇は抑制されない

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限定的な条件下で

 それでは、その「効果のなさ」について順を追ってみていこう。トクホの製品はその効能を裏付ける「根拠論文」をHPなどで明示している場合が多い。今回、専門家の手を借りてそれらの論文を徹底的に査読した。

 まずは「糖」について。

「すこやか茶」「十六茶」のいずれも難デキが入っている試験飲料を飲んだ群と入っていない対照飲料を飲んだ群の食後血糖値などを比較。試験飲料を飲んだ群のほうの血糖値が有意に低い値を示した、としているが、問題なのは飲料と共に摂る食事の内容。「すこやか茶」はきつねうどんとご飯とふりかけ、「十六茶」は大盛りのカレーライスを食べさせているのだ。

「どちらも炭水化物が多く、非常に血糖値の上がりやすい食事をさせています。そして、これだけ限定的な条件下で得られる少しの血糖値の上昇抑制が、長期的に見てどれくらいの意味があるのかは検証されていないのです」(先の高橋氏)

 では、ごく日常的な食事を摂った場合はどうなるのか。まさにその答えを導く実験を行ったのが筑波大学の鈴木正成名誉教授(故人)と京都薬科大学講師の沼尾成晴氏だ。2010年に「特定保健用食品の問題点 食後血糖値上昇を抑制する茶飲料の日常生活条件下での効果検討とダンベル体操との効果比較」という論文にまとめられた研究について、

「鮭定食、ハンバーグ定食、豚めしという日常的な試験食を摂取しながら、被験者には200ミリリットルずつ試験飲料を飲んでもらいました」

 と沼尾氏は説明する。

「試験飲料の1つ目が難デキが6グラム含有された茶飲料、2つ目はグァバ葉茶ポリフェノールが70ミリグラム以上含有された茶飲料、対照飲料が普通の水出し煎茶です。それと合わせてダンベル体操の食後血糖値上昇抑制効果も調べました」

 で、その結果は──、

「どの食事においても、難デキやポリフェノールが入ったトクホ茶が有意に血糖値の上昇を抑制したものはなかった。有意差が出たのはダンベル体操だけでした」

 つまり、一般的な食事をしている限り、難デキ入りのお茶を飲んでも血糖値の上昇は抑制されないのだ。

 ***

(下)へつづく

特集「6400億円巨額市場! 脂肪吸収抑制はインチキ! 分解脂肪は再吸収されていた! トクホの大嘘」より

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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