「小池都知事」と「橋下前大阪市長」が仲違い 原因は「渡辺喜美」

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 小池都知事と橋下前大阪市長。今、永田町でその関係が注視される2人である。この12月には初タッグが控えていたが、水を差したのは意外な人物だった。

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 小池知事のブレーンである上山信一・都特別顧問は、橋下氏や維新の会のブレーンも務めた。そのため2人は互いにシンパシーを抱いているとされてきたけれど、

〈距離を置く〉

 橋下氏がツイッターでそう宣言したのは、11月17日のことだった。

「小池さんは10月末、政治塾を立ち上げまして」

 と経緯を説明するのは、さる全国紙の政治部デスク。

「その3回目、12月10日の講義を橋下さんにお願いした。彼は出るつもりでしたが、次第に塾サイドに不信感を覚え始めたのです」

「希望の塾」か「絶望の塾」か

 ツイッターにはこうある。

〈まず(小池塾の)窓口不明。小池塾サイド、維新議員サイドが好き勝手にやっている〉

〈俺の力で(橋下氏の講演料を)値切ってやる、無料にしてやると言っている維新議員も複数いる〉

 そこで、橋下サイドは、小池塾に〈窓口をしっかりと決めるように〉と伝えたものの、〈あやふや〉の状態が続いた。また、〈小池塾は受講料としてしっかりお金を集めているのでこちらが値引きする理由はない〉。

 そうこうしている間に、トラブルがマスコミに漏れた。そこで、橋下氏は、〈こんなややこしい仕事はやらない方がいい〉と講師を断った――という顛末なのだ。

「小池さんは、結成を目論む自分の新党に橋下さんや維新の会がタッチしてくれれば、強い追い風となる。そこで橋下さんに接近を図ろうとしているのですが、今回の一件でいきなり躓いてしまった」(同)

■俺ならタダに

「橋下さんが書いている『維新議員』とは、あの渡辺喜美さんのことなんです」

 と明かすのは、維新の関係者。渡辺氏は、巨額借金問題などが尾を引き、2年前の選挙で落選。今夏の参院選に維新から出馬し、国政に返り咲いたばかりだ。

「喜美さんが橋下さんに講演の依頼をしたのは10月末。橋下さんは訪米直前だったので“細かいことは帰国後に”となった。でも、帰国すると、今度は小池さんの秘書の方から、“渡辺さんの動きは知っているが、話はこちらとしてほしい”と連絡があったそうです。そこで、橋下さんサイドは、話し合って一本化してほしいと伝えたのですが、その後も双方からそれぞれコンタクトが続いたとか」(同)

 続いて、こんな話も伝わってきたという。

「橋下さんの方には何も言ってこないにもかかわらず、喜美さんは塾の方には“俺なら講演料をタダに出来る”と吹聴していたようなのです。しかし、橋下さんの講演料は1回200万円で、この値はどんなに近しい人の依頼であっても変わりません。まして喜美さん向けに値引きするはずがない」(同)

 渡辺氏は、小池都知事、橋下氏とは共に旧知の仲。そこで自分の存在を大きく見せようと2人の間に勝手に入ったのだろうが、すべて裏目に出たワケだ。

 当の渡辺氏に尋ねたが回答はなし。しかし、

「このトラブルは小池さんの弱点を浮き彫りにした」

 と、先のデスクが言う。

「新党につながる重要な塾の運営は、抑えが利く大物が手綱を引くべき。でも小池さんの周りにそれがいないから、喜美さんのような人にかき回されてしまうのです」

 名君には良き側近あり。

 変らず支持率は高いままの小池都知事だが、「側近不在」が、致命的な傷となるかもしれないのだ。

ワイド特集「希望とため息のストライプ」より

週刊新潮 2016年12月1日号掲載

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