秋篠宮さまを皇太子待遇に 天皇陛下を怖れる安倍官邸

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〈秋篠宮さま「皇太子」待遇〉。温めてきたネタで各紙が勝負する元日の紙面。読売新聞の1面に躍ったのはそんな見出しだったが、識者によると、それを実現するためのハードルは決して低くないという。それでもその難題に取り組まんとする背景に見え隠れするのは、天皇陛下を怖れる「安倍官邸」の思惑だ。

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 読売の記事によると、天皇陛下の退位を実現するための特例法案は、

〈皇室典範と皇室経済法や宮内庁法など関連法の特例を一括したものとする。皇位継承順位が1位となる秋篠宮さまを「皇太子」待遇とし、退位した天皇の呼称は「上皇」(太上天皇)とする方向だ〉

 具体的に検討されているのは、こんな事柄だという。

〈皇室経済法に関しては、上皇を置くことに伴う支出を規定するほか、秋篠宮家への支出を皇位継承順位1位に見合う額に引き上げる特例を設ける方向だ〉

■“政権は終わりだ”

 秋篠宮家には、秋篠宮さまと悠仁さまという2人の皇位継承権者がいる。にもかかわらず、「待遇」の面では予算に関しても人員の側面から見ても、東宮家との間に大きな格差が生じたままであることは、これまで繰り返し議論されてきた問題である。政府は今回の法案に、格差解消に繋がる特例を盛り込むことを検討している――それを伝えたのが、今回の読売の記事だったわけである。

 この報道について、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の御厨貴・座長代理は、

「今回のような話は、有識者会議の中では1回も議論されたことがない」

 と、困惑顔。一方、その実現可能性に疑問符を付けるのは、さる皇室評論家だ。

「皇室典範では、皇室にとって重要な事柄に関しては皇室会議を開かなければならない、と決められている。秋篠宮さまを皇太子待遇とすることは“皇族の身分の変更”に該当しますが、皇室会議の審議事項には“皇族の身分の離脱”はあっても“身分の変更”はない。皇室会議の審議事項にすら入っていないようなことを、特例法案で通すのは、法的な整合性がつかない」

 もっとも、実現するためのハードルが高いことは官邸も重々承知の上で、

「それでも官邸がこの件を諦めずに検討してきた背景には、天皇陛下に対する“怖れ”があります」

 と、政治部デスクは言う。

「退位を巡っては、陛下は一代限りの特例法ではなく、恒久的な法制度を望んでおられる。特例法でいきたい官邸としては、陛下がお言葉を発する機会がある度に、恒久的な制度を望んでおられることに触れられるのではないか、とビクビクしている。ある官邸の人間は、陛下が恒久的な制度の必要性について切々と述べられるような事態となれば、“政権は終わりだ”とまで言っていましたよ」

 それと秋篠宮さまの待遇問題がどうリンクするのか。

「秋篠宮さまの待遇をきちんと検討しなければいけない、というのは陛下もお考えのこと。秋篠宮さまを皇太子待遇とすることを検討するのは、陛下のお考えとも合致する動きで、陛下に対する官邸の“対策”と見ることもできる。その“対策”の裏にあるのは、“だから特例法でご納得いただきたい”という思いに他なりません」(同)

 政府は2018年をめどに退位実現を目指している。残されている時間は決して長くはないのだ。

ワイド特集「年を跨いだ無理難題」より

週刊新潮 2017年1月12日号掲載

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