安倍総理、プーチンを地元旅館に招待…前代未聞の首脳会談

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 日ソ共同宣言から60年。安倍総理は12月15日、ロシアのプーチン大統領を地元・山口県長門(ながと)市の老舗旅館「大谷山荘」に招き、北方領土問題について話し合う予定だ。しかし、いくらなんでも、ご贔屓の旅館で日ロ首脳会談を行うのは、故郷に錦を飾りたかっただけではないのか。

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2島返還!?

 なぜ、日ロ首脳会談が「大谷山荘」で行われることになったのか。

 その舞台裏について、政治部デスクが解説する。

「安倍総理はこの5月、ロシア南部のソチで行われたプーチン大統領との会談で、山口県での首脳会談を打診しました。そして、お盆休みにお国入りすると、地元後援者らに対し、プーチン大統領を招待する意向であることを伝えた。過去、地方での日ロ首脳会談は、北海道洞爺湖サミットのほか、橋本龍太郎元総理とエリツィン元大統領が98年4月、静岡県・川奈で開いた例があります」

 つまり、わざわざ総理の地元で行うのは前代未聞である。

「当初、日清戦争の下関条約を締結した旅館『春帆楼』という案もあったと聞きました。戦後レジームからの脱却を旗印にする安倍総理とすれば、欧米列強と肩を並べることになる条約を結んだ場所で、プーチン大統領と顔を突き合わせることには意味があるはずです。でも、そこは、地元が同じライバル、林芳正元農水相と縁(ゆかり)の深い旅館だったから外されました。結局、安倍総理が、新春の集いや後援会の会合などで頻繁に利用する『大谷山荘』になったというわけです」(同)

■“絶対者”

「大谷山荘」は、長門市の山間(やまあい)、湯本温泉の一角に建つ老舗旅館。創業から135年の歴史を持ち、天皇皇后両陛下がお泊りになったこともある。本館には111室を備え、朝夕食付きで1人1泊2万円前後。ハイグレードの18室がある別邸「音信(おとずれ)」は、5万円前後の宿泊代がかかる。ただし、週末には、いずれも倍の価格になる。

 日ロ首脳会談に向けた準備は、長門市でも着々と進められている。

「10月の臨時議会で、4149万円の補正予算を組みました。大谷山荘の近くに、倒産したホテルの寮が廃屋になっていて、景観を損ねるうえ、警備上の邪魔にもなるので、解体、撤去費用として、3325万円を計上した。他は、ロシア語の観光パンフレットの製作や市のホームページに特設サイトを開設する費用に使っています」(市観光課)

 それにしても、北方領土問題解決の道筋をつける世紀の会談を、ご贔屓の旅館で行うことに批判は出ていないのか。

「再登板以来、衆参各2回の国政選挙に圧勝したうえ、野党の体たらくで、安倍総理は“絶対者”のような存在になっています」

 と語るのは、政治評論家の森田実氏である。

「ですから、故郷に錦を飾りたいだけのような真似をしても、誰も意見が言えません。もし、批判めいたことを口にすれば、すぐに冷や飯を食わされる雰囲気がいまの自民党内にはある。とはいえ、アベノミクスも順調とは言い難いし、北方領土問題でも躓けば、一気に求心力を失う可能性が高まります」

 裸の王様一歩手前であることに気づいていないのだ。

ワイド特集「神帰月の超常現象」より

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

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