朴槿恵大統領、サミット招待に応じずアフリカ訪問 “父の偉業に浸るため”との批判

国際 韓国・北朝鮮

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 何と言っても、オバマ米国大統領の広島訪問が目玉だった伊勢志摩サミット。そこには、オブザーバーとしての参加が一時見込まれた、朴槿恵韓国大統領(64)の姿はなかった。韓国メディアでも批判的に報じられたが、その期間、大韓航空からレンタルした専用機でアフリカへの感傷旅行に出かけていたのである。

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オバマ米国大統領の広島訪問が目玉だった伊勢志摩サミット

 現在、韓国は、外交では北朝鮮における核・ミサイル開発、内政に目を転じてみれば経済の停滞といった難問を抱えている。

 ソウル特派員が言う。

「そのため、朝鮮日報などはサミット不参加は外交ミスだと報じた。北朝鮮の核問題に直面しているのは韓国で、それもサミットの主要テーマだったにもかかわらず、なぜ、その話し合いの場に行かなかったのかと。さらに、G7とともに世界経済への対応策を議論すれば韓国の存在感をアピールできたのに、という論調でした」

 そもそも、日本政府は、伊勢志摩サミットに朴大統領を招待していた。もし実現していれば、大統領就任後初の訪日となるはずだったのである。

「ですが、5月25日から12日間の日程で、エチオピア、ウガンダ、ケニアのアフリカ3カ国とフランスを歴訪するため、26日からのサミットには出られないと断りを入れた。わずかに日程を調整すれば、日本へは日帰りもできるわけですから、何か別の事情でもあるのではないかと勘繰られても不思議はありません」(同)

■“同調はできない”

 なぜ、アフリカだったのか。

 韓国メディアの記者によれば、

「朴大統領は韓国経済の再跳躍を掲げ、それに向けた政策に積極的に取り組んでいます。今回も、大規模な経済使節団を同行し、韓国企業進出の足掛かりをつくるというセールス外交を展開している。ただ、一方で、アフリカ訪問は、父親の業績に浸る感傷旅行だとの批判も受けています」

 というのも、訪問する3カ国はいずれも、父親・朴正煕(パクチョンヒ)元大統領との縁が深かったからだ。エチオピアでは、強権支配を続けたゼナウィ前首相から経済における指導者と仰がれていたし、ケニアとはその政権下で国交を樹立。さらに、ウガンダのムセベニ大統領は、農村の近代化を図った“セマウル運動”を、いまも賞賛しているという。

 コリア・レポートの辺真一編集長が解説する。

「世界的に見れば、アフリカでの父親の業績はたいしたものではないし、韓国国内でのみ通用する自慢話。結局、不参加の理由は、感傷旅行というよりも、歴史修正主義者と批判した安倍総理がホストを務めるサミットで、太刀持ちの役割をさせられることが嫌だったのが一つ。さらに、核の脅威に晒されている国だからと広島に招かれるのも避けたかった。韓国にとって、日本はあくまでも戦争の加害者。わずかでも、被害者扱いされることに同調はできないと判断したわけです」

 度の過ぎる狭量さは、相変わらず。これだけは、言わずにいられない。

「ワイド特集 言ってはいけない」より

週刊新潮 2016年6月9日号掲載

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