12色のティッシュ、3ロール5000円のトイレットペーパー……超高級な「紙」と「黒トイレ」〈日本の超高級品ガイド(7)〉

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 記者が自ら見聞、トライして日本の「超高級品」を紹介する本シリーズ。騙るだけでムダに高いモノもないわけではないが、今回取り上げる品は、どうか。第7回では、もったいなくて使えなさそうな、消耗品の話から始めよう。

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 まずは、1万円の「十二単ティッシュ」。入社3年目で、企画を担った大昭和紙工産業の野村由美子さん曰く、

「『他社との差別化』がこのプロジェクトの出発点。そもそもティッシュは消耗品で、“色がついているからそれで?”と思われるかもしれません。ただ、花粉症の方など、洟(はな)が出てうっとうしい時でも、ティッシュの色でいくらか前向きな気持ちになってもらえればと考えたのです」

 1色染めるのに2日。この十二単は12色だから24日かかる。

「色を鮮やかに染めるために高い技術が必要ですし、それでいて紙の柔らかさを保たねばなりません」

 手作りのティッシュケースには匂い袋が忍ばせてあり、ケースを開けるとほんのり香ってくるのである。

■試したところ……

 過剰なこだわりというものは、むろんトイレットペーパーの領域にも拡がっている。高知県土佐市の望月製紙が作る「羽美翔(はねびしょう)」は3ロール5000円。開発のきっかけは、社長の肌が極めて敏感だったことだ。

望月製紙が作る「羽美翔(はねびしょう)」は3ロール5000円

「なにしろネクタイを締めるだけで首が赤くなるほど。お尻も同様に、紙の質がちょっとでも硬いと荒れてしまうのです」(担当者)

 世界最高のカナダ産パルプに日本一の質と呼び声の高い仁淀川の水から生まれる羽美翔。市販品が1ロール30メートルで約60円であるのに対し、ざっとその80倍である。

 普段はウォシュレットに甘やかされた記者の肛門だが、ケツ然とウォシュレットなしで試したところ、とにかく優しい。また違った形で慰撫された心境である。

 トイレットペーパーが「最高級」なら、トイレも。「羽美翔」と理想のペアか否か。リクシルのトイレ「レジオ」のノーブルブラックは55万円強である。もっとも、これには訳があると担当者は強調するのだ。

「専門の職人の手で一つ一つ塗装しているので、ホワイトに比べてどうしても値が張るのです。さらにお手入れがしやすいのも大きい。ボタン1つで便座が上下するので、汚れが溜まりやすい便座と便器の接合部分を簡単に拭き掃除できるんです」

リクシルのトイレ「レジオ」のノーブルブラックは55万円強

「特集 ムダに高いモノもある日本の超高級ガイド」より

週刊新潮 2016年1月14日迎春増大号掲載

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