フィリピン副大統領が「選挙で票の売買はOK」と発言 パッキャオも既に1人1000ペソ配った?

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 2022年5月に実施されるフィリピンの大統領選は、主な立候補者の顔ぶれが出そろった。年明け2月からはじまる本格的な選挙運動を前に、アピール合戦や非難中傷といった前哨戦とともに、最終的な候補確定に向けた合従連衡の動きが、日に日に激しくなっている。

 そんな中、地元テレビ、新聞、ネットなどの現地メディアを賑わせているのが、有権者の票を金銭で得る「買収」である。

 先ごろ衆議院選挙が実施された日本では、現金や物品を提供して有権者に投票を依頼する行為は、公職選挙法第221条で有罪が確定すれば「3年以下の懲役若しくは禁固または50万円以下の罰金」に処せられることになっている。一方、フィリピンでも犯罪であることに変わりはないのだが、ところ変われば事情も変わり、法解釈も異なるのが世の常というべきか……フィリピンは“買収を許容しようではないか”という気運がにわかに高まっているのだ。

副大統領が“買収容認”発言

 ことの発端は10月26日、家事労働者とのフォーラムの席で発せられた「大物候補者」の次のような発言だった。

「票の売買は確かに悪いことではあるが、そのお金は元々皆さん国民のお金である。だからどうぞ受け取ってください。そして投票はみなさん一人一人の良心に従ってすればいいのです」。

 この発言をしたのは何を隠そう、フィリピンの副大統領、レニー・ロブレド氏その人だった。野党統一候補で政権交代を目指す切り札ともいわれるが、ドゥテルテ大統領に次ぐフィリピンのナンバー2ゆえに、その影響力、ニュースバリューは大きかった。

 副大統領が野党統一候補になるというのは、少し意外に思われるかもしれない。フィリピンでは大統領と副大統領は別々に投票で選ばれるシステムとなっている。大統領が与党で副大統領が野党という「捻じれ現象」が起きることは不思議ではない。むしろドゥテルテ大統領が行う就任直後からの人権無視の麻薬関連犯罪の取り締まりに、レニー副大統領は異を唱え続けてきた。これに対し、ドゥテルテ大統領は政府の重要会議などに副大統領の出席を認めないという「冷戦状態」が長らく続いている。

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