「煽動家」には要注意! テレビにあふれる「専門家」の誰を信用すればいいのか?

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 テレビのニュースや、新聞、雑誌にはさまざまな分野の「専門家」が登場します。

 わかりにくい専門的なことを解説してくれるのだから、私たち素人には大歓迎の存在のはずなのですが、困るのは、専門家によって、言う事が正反対だったりすることです。

 結局、どの専門家の言うことを聞けばいいのか。

 専門家評論家が欲しくなるくらいです。

 自身も経済の「専門家」としてニュースの解説などを務めている伊藤洋一さんは、新著『情報の強者』で、「専門家の選び方」について、3つの方針を掲げています。以下、同書から引用してご紹介しましょう。

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■専門家の選び方 (1)極端なことを言う人は排除する

 私は基本的に、極端なことを言う「専門家」はあまり信用しないようにしている。

「日本経済は破綻する」「EUは崩壊する」「地球は終わる」といった過激な見立て、表現を売りにしている専門家は多い。

 こういう表現のほうが、売りになることはよくわかる。

 しかし、私はどうもこうした物言いをする人を信用できないのだ。

 極端な表現で恐怖を煽るタイプの専門家は、どこか信用できない、というのが私の考えである。

 原発事故の後には、随分とこのタイプの人が積極的に出てきていた感がある。

 その頃、糸井重里氏は、ツイッターで次のように述べていた。

「ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、『よりスキャンダラスでないほう』を選びます。『より脅かしてないほう』を選びます。『より正義を語らないほう』を選びます。『より失礼でないほう』を選びます。そして『よりユーモアのあるほう』を選びます。」(2011年4月25日のツイート)

 これは名言だと思う。まったく同感である。

■専門家の選び方 (2)現場に行っている人を重視する

 紙の資料やデジタル情報だけ、もしくは自分にとって都合の良い取材相手の話だけで論理を構成する人は信用できない。

 私の番組(『ラウンドアップワールドナウ』)では、中国情報を伝えるにあたり、定期的に富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)氏を招いている。なぜ彼を信頼しているのか。それは現場に出向いているからだ。

 例えば彼は、定期的に上海に行き、ある高速道路で通過するトラックの数を定点観測している。その数を現地の経済状況の指標としているというのだ。

■専門家の選び方 (3)現在のナマの情報を取れる人

 世の専門家の中には、過去もしくは現在所属しているグループ(組織、企業、官公庁など)について、裏事情を披露しながら厳しく批判する人がいる。それらはインサイダーならではの情報も多いことだろうし、傾聴に値するものもあるだろう。

 ただし、その人がそのグループと決定的に関係が悪くなっているような場合は、その情報にはある程度注意をしておいたほうがいいかもしれない。

 関係が悪いということは、ナマの情報を取りづらくなっている可能性がある。すると、限られた過去の経験をもとに、話を膨らませたり、よりマスコミに受けるように改変したりしているかもしれない。また、個人的な恨みなどの感情がバイアスとなっている場合もある。

 過去もしくは現在の所属組織について、断定的に「諸悪の根源だ」といったセンセーショナルな物言いをする人の言説には、少しマユにツバをつけて接したほうがいいような気がする」

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 なんとなく、引用した文章から「あのへんの専門家は信用できないってことかな」と感じた方もいらっしゃることでしょう。

 もちろん、これはあくまでも伊藤さんなりの基準。

 それぞれが自身の基準をもとに信頼できる専門家を選べばいいのは当然のことです。

デイリー新潮編集部

2016年3月1日掲載

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