すい臓がんリスクを6分の1にする「あたため睡眠法」 「自己免疫力」を徹底強化する最新技術(4)

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〈ネムリ・イズ・ビタミン〉

 かつてベッド・メーカーのCMでブロンド美女がまどろみの中でこう囁いていたのをご記憶だろうか。このコピーは至言だったのだ。

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 米国で110万人を対象に睡眠時間と寿命の関係の調査が行われたことがある。7時間睡眠が最も長生きし、それ以下でも以上でも死亡率は上った。7~8時間睡眠を基準にすると、3~4時間睡眠の人は2倍以上の死亡率になったという日本のデータもある。睡眠医学等が専門の医師、根来秀行・ハーバード大教授が分析する。

「眠りを誘うメラトニンというホルモンがある。これは、太陽の日を浴びて15~16時間後に生成し始めます。朝7時に起床した人は、夜10時頃から眠くなりはじめる。一方、成長ホルモンは時間に関係なく、眠りに落ちてから1~2時間で生成される。これは細胞の傷を修復してくれ、免疫も強くする。しかし睡眠時間が短いと、傷を治すための時間が足らず、寿命が短くなるのでしょう」

 なおメラトニンには、この成長ホルモンの分泌を促す働きもあるという。

「毎日朝目覚め、夜就寝する規則正しい生活を送っている人は、メラトニンと成長ホルモンがダブルで出るゴールデンタイムを迎えやすくなる。しかし昼夜が逆転したり、いつも睡眠時間の長さが違う人は、体内時計のリズムが狂い、メラトニンが生成されにくい。結果、成長ホルモンの力が十分働かず、免疫力が落ちてしまう。だから7時間以上でも、寿命が下がるのでしょう。なるべく零時までには床に入り、7時間の睡眠を確保しないといけない」


 もっとも早く布団にもぐりこめても、なかなか寝つけない人はどうすれば良いのか。日本睡眠医学協会の大谷憲理事長のアドバイス。

「私はまず『あたため睡眠』法を推奨したい。人間は寝ている時は、体温が1~1・5度下がります。平熱は1度下がると、免疫力は35%落ちる。しかも35度の体温はがん細胞が最も活発に活動できる。だから就寝中も体温を下げないことが肝要です。ちなみに420人を5年間に亘り追跡調査したところ、不眠の人はすい臓がんなどのリスクが約6倍になったとの報告もある」

 大谷氏は、睡眠時間の3~4時間前には夕食を済ますことが大事という。血液が内臓に集まらないようにするためだ。入浴も就寝1時間前までに終える。

「1時間を切ったら、軽い運動や丹田呼吸法を始めましょう。つま先を上下させる運動を10回1セットで5セット行う。次に臍(へそ)の下の丹田に意識を集中し、鼻から息を吸い込み、お腹を膨らませる。今度は息を吐きだし、お腹をへこませます」

丹田呼吸法

つま先運動

 その後、内臓を温めるために、カモミール・ミルクティーを飲むという。

「カモミールには鎮静作用があり、ミルクにはメラトニンの生成を助長するトリプトファンが含まれる。さらに、枕元にタマネギの皮を置く。副交感神経を優位にする硫化アリルを発生してくれます。これで必ず目標の時間に眠れます。ここで忘れてほしくないのは、遠赤外線ベッドパッドを使うこと。『あたため睡眠』が可能になります」

 自己免疫力を大幅に増進させ、厳冬に負けない鋼の身体を作られたし。免疫系の生命科学は宇宙の神秘にも匹敵する。

「特集 厳冬に負けない『鋼の身体』に鍛える! 『自己免疫力』を徹底強化する最新5つの技術」より

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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