意外な伏兵「デパート友の会」はリスクなしで超高利回り8.3%――「大人のお金」ガイドブック

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 お中元にお歳暮、あるいは銀婚式を迎える妻へのプレゼント――。どんなに倹約を心掛けようと、人生に出費は避けられない。そんな折々に威力を発揮する“デパート友の会(デパート積立)”が、主婦層だけでなく、中高年男性からも熱い視線を浴び始めている。

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 友の会は何も、毎週のようにデパートを訪れる常連客だけに向けたサービスではない。ここ最近、注目されている理由はむしろ、安全かつお得な運用先としてなのだ。

「退職金が2000万~3000万円で、現在は年金暮らしという方がコツコツ稼ぐには、デパート積立が最適だと思います」

 と断言するのは、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子氏である。

「基本的な仕組みはどのデパートも一緒です。毎月一定額を積み立てると、1年後の満期時に1カ月分の金額が加算される。つまり、1万円ずつ積み立てれば1年後に13万円分の買い物ができるわけです。年間利回りに換算すると実に8・3%となります」

 この超低金利時代に、驚くべき高金利としか言いようがない。ただし、

「注意してもらいたいのは、定期預金と違って満期になっても現金が返ってくるわけではないこと。基本的にそのデパートや提携店舗でしか使えません」(同)

 会員にはカードが発行され、満期になると積立金にボーナスを加算した金額がチャージされる仕組みだ。

「預金のように利子(ボーナス)から税金を引かれることもなく、デパートが倒産しない限り使えるのでリスクも小さい。しかも、最近は各デパートがサービスを競い合っています」(同)

 花輪氏が推薦する高島屋の「友の会」では、お中元やお歳暮の時期に5%割引券を配布している。同様に、京王百貨店では子供の出産や入学、卒業に合わせてお祝いを贈るなど、各社が会員獲得に火花を散らす。他方、

「積立金額は5000円から1万円、3万円、5万円までの4コースがありますが、おひとりで何口でも入会頂けます」(高島屋広報)

 つまり、5万円コースが2口の場合、120万円が130万円に化けることに。

 ボーナスとして、換金可能な商品券が配られるケースも減っているが、“必要”のある向きには割の良い投資と言えよう。

 実際、多くの客は、贈答品の機会が増えるお盆や年末に満期を定めて加入するという。高級腕時計を手に入れるために積み立てる男性会員も少なくない上、

「シャネルやグッチといった高級ブランドは、どのデパートのクレジットカードでも割引きの対象外ですが、友の会で積み立てた“お金”で買うと、実質的な割引きと変わりません。そのせいか、うちの社員もかなり入会していまして……」(同)

 確かに、マダム御用達にしておくにはもったいない“金融商品”である。。

「特集 カオスの時代に俗人的な『大人のお金』ガイドブック」より

週刊新潮 2015年2月19日梅見月増大号掲載

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