新型コロナで中国にマスクを提供 困った時はお互いさま?支援に賛否

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 日本は中国、韓国に次ぐ世界第3位のコロナウイルス「感染大国」と化している。

 そうした状況で、例えば香川県は備蓄していたマスク約2万7千枚を2月6日に中国陝西(せんせい)省に送った。これに対してマスクが店頭から消えて不安を募らせていた県民からは、「(中国の前に)県民に配布しろ」などと苦情が寄せられたという。確かに、税金を納めている住民からすれば、「県民ファースト」を望むのは自然と言えよう。

 また東京都も、医療用の防護服約12万着を中国に提供している。その判断を下したのは小池百合子都知事だが、

「彼女は親中派の二階さん(俊博・自民党幹事長)を後ろ盾にしているので、彼のご機嫌取りの意味もあったのでは」(政治部デスク)

 東京都の感染症対策課は、

「もともと防護服は220万着備蓄していました。有事の際には、110万着あれば対応できるとシミュレーションしており、中国等に提供したことは問題ないと考えております」

 こう「余裕」を見せ、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏も、

「ウイルスに国境はありませんし、困った時はお互いさまの面があります」

 と、日本側の善意に理解を示すが、元厚労省医系技官で医師の木村盛世氏は各自治体の対応を厳しくこう批難する。

「論外だと思います。世界から見れば、日本も中国と同じ感染大国。日本が『第二の武漢』にならないとは言い切れない状況にあります。少なくとも、現状では国内での感染拡大を食い止められていません。このまま感染者が増え続ければ、あらゆる産業が打撃を受け、GDP(国内総生産)に大きな影響を与える事態にもなりかねない。そうなれば、『亡国病』と言われた結核以来の国難とも言えます。したがって本来、今の日本は国内のさらなる感染拡大に備えるのに精一杯のはずで、中国を支援している場合ではないのです」

 上氏からの警告も参考にしたい。

「国立感染症研究所は、08年に新型インフルエンザを想定して、首都圏の鉄道に感染者がひとり乗った場合、5日目に700人、10日目には12万人に拡大するとシミュレーションを出しています。『隠れ新型コロナ感染者』も、すでに10万人規模まで広がっているかもしれません」

 いずれにせよ、見えざる難敵は、着実に「どこか」ではなく「あなたの隣」に忍び寄っている。

週刊新潮 2020年2月27日号掲載

特集「世界から忌避される『大感染列島』ニッポン」より

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