キムタク、岡田准一、二宮和也……今年は何と20本「ジャニーズ映画」は惨敗続き

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ヒットは「忍びの国」と「関ヶ原」

 100億円超え!の謳い文句だった、キムタク主演「無限の住人」(4月29日公開)は10億円にも届かず、クリント・イーストウッドにも認められた“演技派”二宮和也主演「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」(11月3日公開)は3位発進……どうした?ジャニーズ。

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 昨年大晦日のSMAP解散から一夜明け、2017年のジャニーズの調子がおかしい。1月7日公開の年明け第1弾、Hey! Say! JUMPの中島裕翔主演「僕らのごはんは明日で待ってる」は初週トップ10にも入らず圏外スタートで始まった。ま、これは昨年、女優の吉田羊との7連泊愛の影響もあるかもしれないが、前述の通りキムタク、ニノをしても大ヒットには遠く及ばないのだ。

 映画評論家の北川れい子氏が言う。

「ヒットしたと言えるのは、嵐の大野智主演『忍びの国』(7月1日公開)とV6の岡田准一主演『関ヶ原』(8月26日公開)くらいかしら。でも、『関ヶ原』は大作で、見ているのは歴史好きな中高年で、岡田クンが主役とは思えない作品でした。脂ののった役所広司に格の違いを見せつけられていましたからね。岡田くんの主演映画には『追憶』(5月6日公開)もありましたが、こちらも共演の小栗旬や柄本佑に喰われてパッとしませんでした。他には有村架純と嵐の松本潤が共演した『ナラタージュ』(10月7日公開)は話題になったのは有村のベッドシーン。広瀬すずと生田斗真の『先生!、、、好きになってもいいですか?』(10月28日公開)も『ナラタージュ』同様、教師と生徒が出来ちゃう映画。人気女優の双璧を持ってくるあたりはさすがですが、どうして似たような映画をこんなに短期間に公開するんでしょうねえ」

ジャニーズのタガが緩んだ

 ジャニーズに所属するタレントの出演するジャニーズ映画はザッと見回しただけでも今年1年で20本以上! ふた月に3本以上が公開される計算で、ジャニーズ映画同士で喰い合っているのが低調の原因との声も上がっている。

「ホントに多いですよ。なんだか、自分の所のタレントを代わりばんこに使って、ストーリーよりも主役を目立たせたいというものばかり。それにジャニーズはキムタクを筆頭に高齢化が進んでいるようにも見えます。もちろん若い子がいるのも知っていますけど、映画なら同じ20代でも菅田将暉(24)や松坂桃李(29)などジャニーズではやらないようなヤバい役をやる役者の方が見応えがありますからね。そういった流れも低調な理由かもしれません」(北川氏)

 SMAP騒動後のジャニーズに変化が起こり始めているというのは、『ジャニーズと日本』(講談社現代新書)などの著書があるライターの矢野利裕氏だ。

「SMAP騒動以降、ジャニーズのタガが緩んでいるのかもしれません。かつてはあり得なかった、発売前の新曲音源が出回ることもありますし、主演映画にもかかわらず写真を使わせないなど、あれほど画像使用に厳格だったのに、雑誌に掲載されるようにもなってきた。これらは本来、ジャニー喜多川さんの美学、価値観にはないものだと思います。先日の元SMAPの香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎の3人によるAbemaTV『72時間ホンネテレビ』だって、SNSすら認めないジャニーズを出たからこそ出来た番組ですし、それが大きく支持されてしまった。もはやジャニーズはかつてのような強硬姿勢を保てなくなっているのかもしれません。またジャニーさんの発言力が低下していることも考えられます」

 まるでプログラムピクチャーのような粗製濫造の要因は、司令塔の不在にあった?

映画と共にあったジャニーズ

 映画ジャーナリストの大高宏雄氏はジャニーズ映画の低調を認めつつ、

「実はジャニーズ映画はフォーリーブスの時代から東宝のドル箱でした。歌だけでなく、映画と共にあるのがジャニーズなんです。長い歴史の中で栄枯盛衰は仕方ないでしょうけど、今年邦画界で一番の大番狂わせだったのはキムタクの『無限の住人』でしょうね。三池崇史監督の真骨頂とも言えるエグい作品で、決して悪い作品ではなかったのですが、興収は10億円にも届かなかった。アイドルとは言え、キムタクだって45歳。嵐やV6だって30代ですからね、アイドルから脱して演技や中身を問われる時期だと思います。これは邦画全体にも言えることですが、人気者を主演に使って、人気コミックを原作に撮るという作品が多すぎます。テレビ局と組んで赤字にはならなければいいという映画作りではなく、企画段階から練り込んで、役者に相応しいものにして、本数を絞っていかないと、ジャニーズだって今後を見誤る可能性もありますよ」

 来年はキムタクと二宮和也のW主演映画が控えている。
 
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週刊新潮WEB取材班

2017年11月19日掲載

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