オバマ大統領を広島に! 県民の願いを込めた1400通の手紙がホワイトハウスに届いた

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 オバマ米大統領の広島訪問を願う県民の活動が話題となっている。

 広島テレビが集めた広島県民1400名分の手紙が、今年9月広島テレビ社長の三山秀昭氏により米国国家安全保障会議の高官に手渡された。1400通の手紙は来年5月の伊勢志摩サミットの際、大統領に広島訪問を熱望する内容だ。三山氏は訪米の際の様子を「新潮45 12月号」(11月18発売)に掲載された「オバマ大統領、ヒロシマはあなたを待っています」と題した記事のなかで詳述している。

広島テレビが県民1400人から集め、ホワイトハウスに届けた「オバマ大統領への手紙」

■謝罪ための訪問要請ではない

 三山氏はその場で米高官に「重要な点は原爆投下の謝罪のために広島訪問を求めているわけではない」と説明した。広島県民が求めているのは、2009年チェコのプラハで「核なき世界」の演説を世界に発信し、同年のノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領に、厳しさの増す国際情勢の今だからこそ、核軍縮のメッセージを被爆地から世界に発信してほしいという要請だ。米高官はその要請を「注意深く、誠実に検討する。県民の要請は真剣なものと受けとめる」と三山氏に語ったという。

■広島県民のコンセンサスは「謝罪よりも未来」

 三山氏は同記事の中で、松井一実広島市長や数々の被爆者の言葉を紹介している。そのなかで語られているのは、被爆者達が憎しみを超えた「許す心」を持っており、二度と広島、長崎を繰り返してはならないという核兵器廃絶への強い願いがあるということだった。そして三山氏は広島では「謝罪よりも未来」がコンセンサスとなっており、オバマ大統領が広島を訪問し、被爆の実相に触れ「核廃絶とその道程の核軍縮へのメッセージで『核なき世界』へ一歩でも動かしてほしい」と述べている。

■オバマ大統領のレガシーとして広島訪問を

 三選のない米国大統領は2期目の後半はレガシー(歴史的偉業)を求める、と三山氏は分析する。実際オバマ大統領はキューバとの国交回復を果たし、イランの核開発を阻止、そしてTPPの大筋合意と、レガシーを積み上げてきた。しかし「一つ残っている」と述べ、次期大統領選への影響も少ない来年5月に広島を訪問し、プラハ演説の一層の具体化を訴え、「核なき世界への前進」をレガシーの集大成としてほしいと力説している。

 国際情勢が厳しさを増す今だからこそ、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領がプラハ演説で語った「行動する道義的責任」を果たし、他の核保有国にも影響力を行使してほしいと三山氏は述べ、「広島市民は寛大さと寛容な心でお待ちしています」と論を締めている。この動きが広島県民のみならず、国民的な運動となることが待たれる。

新潮45 2015年12月号掲載

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