第三者委員会報告書に“NG”で東芝「室町社長」の首

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 東芝にとって、7月に第三者委員会が提出した調査報告書は“錦の御旗”になるはずだった。この報告書を元に不正会計の時期と責任者を限定し、歴代3社長らに責任を覆いかぶせて収束を図ろうとしていたからだ。が、ある組織からNGを出されて、室町正志社長の首筋まで寒くなってきたのだという。

 11月26日、東芝の第三者委員会の調査報告書にダメ出ししたのは、「第三者委員会報告書格付け委員会」。一体どんな組織なのか。

「企業コンプライアンスに精通する久保利英明弁護士などが、昨年4月に第三者委員会の報告書をチェックするために立ち上げた組織です」

 こう解説するのは、全国紙の経済部記者だ。

「格付け委員会は寄付を元に運営している私的な団体で、手弁当的な色合いが強い。1回目の格付けは、みずほ銀行が行った“反社会的勢力”への融資案件に関する報告書で、朝日新聞の“慰安婦問題”の報告書もその対象でした。今回で7回目になりますが、東芝には厳しい内容になっています」

 格付け委員会の評価は上からA、B、C、D、そして不合格Fの5段階。東芝については、委員8人のうち3人が最低評価のFと結論付け、“調査期間が不十分で、調査対象も物足りない。非常に問題点が多い”と一刀両断している。東芝の中堅幹部も困惑顔で、

「格付け委員会は、米国の原発子会社ウエスチングハウスの会計処理について全く触れなかった点を厳しく批判しています。実は、第三者委員会の調査報告書が公になった時、身内からも疑問の声が出ていたほどですからね」

 第三者委員会は、室町社長に対して“関与は認められない”と“無罪”の審判を下していた。株主代表訴訟を検討中の投資家は、

「不正会計のあった時期、室町さんは副社長の重責を担っていた。それを第三者委員会が“シロ”だと判断したこと自体がおかしい。今後、室町さんの責任も追及していきます」

 万が一に備えて、早めに次期社長候補を探し始めた方が良いのではないか。

週刊新潮 2015年12月10日号掲載

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